成功事例に学ぶ「発達障がい・精神障がい」の採用と定着について
法定雇用率2.3%への引き上げや新型コロナウイルス感染拡大の影響が長期化など、障がい者雇用において様々な変化や課題が発生しています。

企業に更なる障がい者雇用の拡大が求められる中「発達障がい」「精神障がい」を持つ障がい者の雇用に活路を見出す取り組みがなされていますが「社内に適切な仕事があるか」「受け入れ先部門の理解」等の課題があげられ採用に踏み出せないといった声を多く聞きます。

そこで本セミナーでは株式会社グローバルキッズ様の事例を紹介するとともに「発達障がい」「精神障がい」を持つ障がい者の方々の採用、および採用後の定着に関するポイントについてご説明いたします。

プレゼンの動画&記事

セミナーのあらすじ

2006年5月に行政から認定を受けていない東京認証保育園としてスタートした株式会社グローバルキッズ。「子供達の未来のために」を企業理念に、全国で保育園や児童発達支援施設を経営。保育園や学童保育施設を開設したい会社へのコンサルティング業務や他の保育園の給食室への栄養士・調理師の派遣事業も行っている。

転機が訪れたのは2015年6月。厚生労働省から障がい者の法定雇用率に関する指摘を受けたことをきっかけに、積極的な障がい者雇用に舵を切ることになる。様々な業者から情報収集をした末にたどり着いたのは障がい者を清掃作業員として雇用することであった。しかし、それだけでは会社の著しい成長スピードに雇用が追いつかない。そんな矢先に出会ったのが、障がい者の採用・定着を支援する株式会社メンバーズギフテッドであった。同社の支援を受けながら、障がい者雇用における細かい配慮の重要性を身を持って知り、障がい者の本社採用へも踏み出していく。グローバルキッズが考えるのは「戦力としての障がい者雇用」である。現在ではステイホーム時代に合った障がい者の新しい働き方についても模索している。


登壇者紹介

久代 雅人 氏
株式会社グローバルキッズ 人財採用部 採用グループ
建設業で17年半人事一筋で勤務し、子どもに関わる仕事に携わりたく2012年12月に転職。グローバルキッズでは、研修、職員サポート、採用などを担当する人財育成グループ、規程、社会保険周り、給与関係、入退社、休職復職、障がい者関連業務を担当する労務グループを経て、現所属は採用グループとなりますが、前所属の半分以上の業務を携え異動しました。


夢の始まりは「東京認証保育園」

株式会社グローバルキッズ採用グループの久代と申します。よろしくお願いいたします。まず最初に会社の概要を説明させていただきます。

当社の設立は2006年の5月です。一番最初は東京認証保育園といいまして、行政(役所・区役所・市役所)から認定を受けていない保育園としてスタートしています。初代社長である中正雄一がこの会社を立ち上げました。2017年からは石橋宜忠が社長に就任しております。

従業員数ですが、僕はこの会社に入った時は社員番号がまだ665番でした。それが今では今年の2月で3628名。直近ですと今年の6月1日で3800名まで増えています。

主たる事業としては保育園や学童保育施設の運営を行ったりですとか、他の会社さんで新しく保育園、学童保育施設を開園したいという方々へのコンサルティングも行っています。その他に、他の保育園の給食室へ栄養士・調理師を派遣して業務を行っていただく調理の業務委託も行なっております。

「子供達の未来のために」輝いた大人を見せる


会社の理念は「子供達の未来のために」です。

これは創業時から掲げている理念となっていて、今当社に入社して来て頂いている方々の8割以上がこの理念に共感して入社していただいています。この「子供達の未来のために」という言葉の中には乳幼児期の関わりというものが非常に大切であることがあります。その時期に学んだことや人からもらった愛情は、未来永劫その人の人格形成につながっていきます。

ですので、乳幼児期の教育だとか関わり方は非常に重要です、ということをこの言葉の中に込めています。世間では長い間待機児童解消という言葉が謳われ続けてきていますが、それにも貢献したい、社会に貢献するようなお仕事をやりたい、ということがこの言葉に込められています。その一方で実際どんな保育をやって行くのかということで保育理念を掲げています。

豊かに生きる力を育てるという風に言っていますが、子どもたちが自分で考えて物事を選んで学ぶ姿勢を保育者はそばで見守りながら、手助けしながら、その子の成長を見守っていくということです。会社名にグローバルという名前をつけた通りで「世界に羽ばたいていっていただけるようなお子さんを育て育てていきたいな」というのが保育理念です。

当然のことながら子供たちと関わる大人の存在も非常に重要で、我々の姿勢の中に「輝いた大人を見せる」という言葉があります。これは大人が楽しんだり、生き生きと働いている姿を見せていれば、子供達も必然的に「こんな大人になりたいな」と思ってもらえる。そういった保育者になっていこうね、というのもこの保育理念の中に含まれています。

全国で保育園や学童クラブなどを数多く経営


次に会社の規模についてお話します。全国176箇所でこういった施設を展開しています。一番左から認可となっていますがこれは役所から許可を得て運営している保育園。これ以外のところは東京都内だと認証園というような言い方をしています。

それ以外に企業主導型、これは企業に勤める方々が利用しやすいような保育園。それ以外に幼稚園と保育園が一緒になったような認定こども園、ごく少数の0~2歳児だけを預かる小規模保育園、そういったものがこの中に含まれています。

それが159施設ありまして、そのほとんどが東京と神奈川にあります。それ以外は埼玉に2箇所、千葉に3箇所、大阪に5箇所あります。真ん中にある学童クラブ・児童館は板橋区、練馬区、千代田区、後は神奈川方面にて2箇所で学童クラブの方を展開しています。

中央区の勝どきというところに児童館が一箇所あります。これらはすべて行政からの委託を受けて行なっている事業です。一番右は児童発達支援施設ですね。これは就学前の発達が気になるお子さんたちをお預かりして、短い時間ですと50分。長い時間だと90分。一人一人の特性を見極めて、どういった寄り添い方をしていけばいいか、どういった育て方を指摘していけばいいかというのを保護者の方と相談しながら子どもの育ちを見守っていく、そういった事業を2年前から始めています。

障がい者雇用に強く踏み切ったきっかけ:突然「ブラック企業」と呼ばれて


続きまして本題に入ります。弊社の障がい者雇用の歴史についてお話します。立ち上げてから9年ほど、特に障がい者の雇用に関しては特別な動きはしていませんでした。2015年の6月の話ですが、毎年6月1日に障がい者の雇用状況を報告するというものがあります。毎年出してはいたんですけれども、この頃には従業員数が2000人を超えてきていました。2000人を超えている中で、手帳を持っていらっしゃった方は3名しかいません。

障がい者雇用率は全国平均で1.82%あるようですが、弊社では0.41%しかありませんでした。この報告書を出した時点ですぐにハローワークから電話がかかってきまして、年末までの間で呼び出されることが4回ありました。

それなりに「社会的意義をもって運営している会社さんなのに障がい者雇用が足りていないのはどういうことでしょうか?」と指摘されるところから始まり、

「雇用者数を増やしていくためにどんな手段を考えていますか?」
「考えていないのであれば、具体的な案を提出しなさい」
という風に毎回呼ばれるたびに説教を受けました。

2015年の11月末までに障がい者雇用不足数が5名以下。もしくは前年の全国平均実雇用率を下回っていた場合には、その翌年2016年の1月1日から2017年12月31日までの2年間。この期間でその目標数値を達成しない場合、厚生労働省のホームページで「この会社はブラック企業ですよということで社名公表します」と言われました。

それだけに留まらず、公表された以降は毎月のように東京労働局から指導が入り、なおかつ会社は毎月報告しなければいけない、更にもっと大変なお仕事が待っている状況だったんですね。それまで我々が取り組んでいたのは「社内に障がい者手帳を持っていらっしゃる方がいたら提出してください」程度の動きしかしていませんでした。それで集まったのは結局3名だけでした。

情報収集の末にたどり着いたのは、清掃作業員としての障がい者雇用

実際に雇用を進めていかなければいけないという風になった時に、まず色々な人材紹介会社ですとか、ハローワーク、あとは支援事業者ですね。そういったところで当社で働く人を探すとなれば、保育士・看護師・調理師・栄養士・学童指導員、そういった方々で「手帳を持っていらっしゃる方いませんか?」とお尋ねしたんですけれども、ほとんどいませんでした。

そうなると、募集サイトを使ったりして人を集めるのも一つの手だったんですが、色々な業者さんと情報収集する中で、

「清掃等の業務だと人を集めやすいですよ」
「保育園の中での清掃作業って意義のある仕事ですよね」
という話からヒントを得て実際清掃員の方々を雇用する方向に転換して行きました。

この2年間で3名しかいなかった手帳保有者の方ですが、実質27名は入社させなければならないところ28.5名まで増やすことができました。こうして厚生労働省のホームページに載る事態を回避することができました。

弊社は先ほど申し上げたとおり、今も3800名職員がおります。毎年4月1日には400名から600名ぐらいの新規採用者がいます。新規採用をすると全体的な職員数が増えますので、法定雇用率の関係で毎年障がい者の方々を雇用する必要が出てきます。

「それでも障がい者雇用が追いつかない」新たなパートナー:株式会社メンバーズギフテッドとの出会いをきっかけに、本格的な雇用に踏み出す

そうすると、今のペースで雇用し続けていても法定雇用率を満たすことが出来ませんので、思い切った打開策ですとか新しい雇用形態を見つけ出さなければいけない。そういうことで昨年メンバーズギフテッドさんをご紹介いただいて、そこで相談を開始しました。8月に福岡サテライトオフィス訪問という感じで昨年から具体的に動き出しを始めた次第です。


これをもっと細かくしていくと、元々は大きく分けるとこの第一フェイズと第二フェイズに分けられるかなと思うんですが、第一フェイズとしてはハローワーク・就労移行支援事業者・地域生活支援センター・特別支援学校、そういったところにお声掛けをさせて頂きながら求人表を出して、そこに応募していただいた方、またはこういったところが主催する就職のフォーラム・フェア・面接会などに積極的に参加をして会社のアピールをしながら「この社会的意義のある仕事についてみませんか?」ということで募集を行っていたような状況です。

最初に清掃業務にフォーカスをさせて頂いたのは、先ほど色々な職種の話をしたんですが、保育園であれば保育士さんはもちろん働いてもらうんですが、看護師さんがいたり栄養調理師さんがいます。こういった方々で保育・調理・事務・清掃、そういったものを皆さんで協力してお仕事を行ってくださいという風に言っています。これを我々はチーム保育という言い方をさせていただいています。

ですが、この清掃というのは保育園等ではかなりマメにやらないといけないんですね。なぜかといいますと、例えば、今日一人インフルエンザにかかった子がいました。次の日にはそれが5人に増え、その次の日には10人に増えるんです。感染症の拡大率が非常に高いわけなんですね。保育園は特に密接に関わることが多いですから、そういった時に除菌や清掃を丁寧にやってるところは拡大率が非常に低いんです。そういった清掃を職員の皆さんが手分けをしてずっとやっています。この清掃に入ると、小一時間どうしてもお仕事から抜けてしまうような感じになります。そのような時に限って子供たちが怪我をしたりですとか、喧嘩をしてしまったりだとか、色々トラブルが発生します。

そこに清掃専門の方が入っていただくことによって、子供たちを気にかける人の目が増え、怪我の防止に繋がり、職員の皆さんが仕事が終わった後に清掃して帰られたりとかっていう負担も軽減できるわけです。実際入ってもらったところにお聞きすると「非常に助かっています」とのことでした。こういった方々がいてくださるだけで、我々も仕事に集中できて毎日長い時間残る必要もなく帰ることができる、生活のリズムを作れるので、お互いにとってウインウインの関係が出来上がる、ということでした。

実際働いていただいてる方々は7月1日現在で今45名いらっしゃいます。内訳をお話していくと精神の方が22名います。知的の方が11名、身体の方が12名という形で働いてもらっています。これはたまたま応募していただいた方が何かしらの障害をお持ちだった、採用してその方がこういった障害を持っていた、ということなので最初から特定の障害を持っている人だけにターゲット絞って採用はしていません。

障がい者の受け入れで必須となるのは、その人に合わせた細かな配慮

最初の頃の難しさですね、障害を持った方々を受け入れるための難しさがあります。まず保育園だとか学童施設に打診をします。アンケートを取らせてもらったこともあります。

アンケートを取るのは、受け入れるにあたっては、
「会社側が何をしなければいけないのか」
「どんなことに配慮しなければいけないのか」
「実際受け入れる際にはどのような受け入れ態勢を整えなければいけないのか」

それは相互理解が必要なので、事前に全職員のみなさんに「こういった障害の方が入ってきます。ですので配慮事項はこれとこれです」と説明をさせて頂いて、みなさんに共通認識を持っていただいた上で受け入れるというところからスタートしました。

そういった実績を残していくことによって、他の園でも口コミで「うちで入ってもらってる障がい者の方は非常に良い人だよ、あなたの所も採用してみたら?」という感じで輪が広がっていきました。今45名の方がいらっしゃるんですが、その中には本社の事務で働く人が3名いらっしゃいますし、保育士さんとして働いていらっしゃる方々が3名、それ以外の方々は清掃業務で働いてもらっています。一番大事なのは入っていただいたらそれで終わりではなくて、色々な配慮が必要だったりする場合もあります。

そういった情報共有ですね、ご本人から直接もありますし、支援事業者さんから入る場合もありますし、直接毎日見ていらっしゃる園長先生や職員の方々から情報をもらって「今もしかしたらちょっと調子崩しているかもしれない」というときには電話連絡したりですとか、直接訪問したりして今の状況を聞き取りして、どんな配慮が必要なのかお互いに考えながら安定して働けることを模索しています。

現場だけではなく、本社での障がい者雇用にも積極的に乗り出していく

それだけでは結局障がい者の雇用というものは達成できないということで、第二フェイズとしてはメンバーズギフテッドさんの存在ですね。人材紹介会社さんってたくさんあるんですけれども、その中でもメンバーズギフテッドさんのお話の持って行き方・考え方、そういったものに共感できたので、数ある業者の中でもメンバーズギフテッドさんだけにしか人材紹介はお願いしていません。

そこで話し合っていく中で「現場だけではなくて、本社での雇用も進めていかなければいけない」ということも薄々は感じていたんですが、実際にそちらの方向にも舵を切ることにしました。更にそこから発展して、福岡のサテライトオフィスを利用しての勤務ですね。こういった構想は全く僕たちの頭の中にはなくて、ご提案いただいてこちらでの雇用にも踏み切りました。

本社内の業務の切り出しですが、これもなかなか踏み込むことがやりづらい業務でした。実際のところ本社内で10の部門があり、10の部門長にお願いをしたところ、ほとんど断られました。なぜかと言うと「フォロー体制が取れない」だとか「そういった方と接したことがない」というのが主な理由でした。

我々が取った方法は、
僕の部署に入っていただいて、よその部署で切り出せる業務を出してもらい、
それを請け負ってその仕事をその部署に返す。

というもので、この方法で本社内での雇用を進めようと考えました。

まずメンバーズギフテッドさんの方で本社の部門長に「障がい者雇用って本当に大切な事なんですよ」っていうような話をしていただいたりしたこともあります。そういったところで信頼できる事業者さんだっていうことも口伝ではあるんですが、伝わっています。そういったことでメンバーズギフテッドさんの存在感も社内で確立されてきているような状況です。

ようやく掴んだ、成功の兆し


実際の稼働率は100%となっています。

2019年の4月ごろに相談させていただいて、7月に1名、10月に1名入っていただいています。今年の1月に福岡のサテライトオフィスでも1名採用させていただいています。この3名とも、採用グループを僕と同じチームに所属してもらって、文章を作るところから始まり、そんなに複雑なものは作ったりとかしていないんですけれども、基本的にはExcelやWordなどのデータの入力作業を行ってもらっています。

ただ、意外に紙での処理が結構多いんですね。当社のような事業はまだまだ紙がなくせない仕事ですので、どうしても出勤して仕事しなければいけない現状があります。そういった色々な部署からお仕事をいただいて、それを完璧に仕上げる事によって「じゃあ次はこの仕事、お願いしてもいいですか?」という風に新しい仕事をどんどんいただけている状況が今生まれてきています。ですので、我々のところに入っていただいたこの3名の方の地位も確立できつつあります。

定着率は100%となっておりまして、どんな障害があったとしてもそれぞれの方々がそれぞれ与えられた役割を100%発揮していただいて、社内の業務に貢献していただいています。こういった他の所からの評価は非常にご本人たちの働く意欲にもつながりますし、もっともっと仕事を見てもらって、経験してもらって、自分の経験値を上げていってもらいたいなと考えています。

ただ、この定着というのもすべてが上手くいくわけではなくて、時には気分が落ち込むこともあるし、言葉がけにも一つ一つ注意しなければいけないときもあります。何となく話しかけた言葉がその人を傷つけてしまうことがあり、そういった配慮も非常に重要です。定着率が安定してくることによって、障がい者の方々が健常者の人々と社内で共存することができ、なおかつ自立して一人で仕事を任され、羽ばたいていってくれることを望んでいます。

退職者は0人です。基本的には入り口はパートからの採用でスタートしています。その方が働きたいと思った時間を最初に聞き取っています。

最低限のレベルってあるんですけど「週5日の週20時間以上で働き始めてくださいね」ということだけは条件として出させていただいています。仕事に慣れてきたら徐々に自分ができる範囲を広げてもらって、働く時間も広げていってもらう。入り口のところで無理しても、結局長く続かなかったら全く意味がなくなってしまうので、せっかく入って頂いた以上は長く勤めていただくというのも目標の一つであります。その方が働きやすい環境で、自信をつけてより長く働けるような環境を提供したいという風に考えています。

障がい者雇用を成功させるため、何をすればよいのか?


成功のポイントとしてはメンバーズギフテッドさんから紹介していただいた方々が確実に業務をこなしてくださっているので、他部署からの評価も得られるようになってきました。そういった当社が取り組んでいることを他の就労支援機関へご案内したりですとか、メンバーズギフテッドさんを介して外部に向けて社会貢献度をアピールすることができるようになっています。

定着ですね。まさしく今僕のチームで働いていただいている3名の方。この方々がK-STEPというものを使っています。1日を朝昼夕に分け、朝の状態はどうだったのか、昼の状態はどうだったかを自分なりに確認して報告してもらっています。

またメンバーズギフテッドさんの方で各人に支援面談を月一回のペースで行ってもらっています。必ず月1回ではなくて、その方が調子を崩したりすれば回数を増やしてくれています。それでもまだ足りないと思えば、二重にも三重にも網の目を張ったサポートをしてくださっているので非常に助かっています。

この各個人に行われる支援面談のフィードバックを月1回今度は我々にも行って下さっています。やっぱり対面だと言いにくいこともあります。それをメンバーズギフテッドさんが間に入っていただいて、それを咀嚼してお互いにわかりやすくソフトに伝えていただいています。

ですので、当事者同士でぶつかるっていうことがほぼなく、円滑に人間関係も業務も回せています。「こういった方はこういった性格なので、このような言葉がけの方がいいと思います」といった業務の仕方・負荷のかけ方など具体的な指示もいただいています。そういったことで我々も気づかされることが非常に多いですね。そういうことでお互いが気持ちよく長く働ける。そういった部分が採用に関して成功している部分ではないかなという風に思います。

「ステイホーム」時代に合わせた、障がい者の働き方改革


今後戦力として考えた場合の障がい者の雇用に関してですが在宅業務の推進、これは以前からメンバーズギフテッドさんとお話していく中で、在宅業務っていうものはあっても良いのではないかと思っていたのですが、それをさらに進化させたのは今回のコロナの件が大きいです。

私も今年の4月の3週目から在宅勤務を取り入れるようになりました。

冒頭に申し上げました通り、紙での業務がまだまだ半分は残っておりますので、2日に一度出勤しています。ですが、その半分は在宅でも仕事ができるように業務の振り分けを考えて行っています。 福岡のデジタルサテライトオフィスの勤務をしていただいている方は業務命令で4月の途中から完全在宅勤務にしてもらっています。

まだまだ福岡も感染者が多く出たりですとか、今回の水害等もあります。そういった危険等も配慮して、ご自宅でお仕事が出来る環境が会社の方で用意したものでできています。ですので、今のところ7月一杯までは完全在宅勤務を行ってもらっているような状況です。この方の評価も非常に高くて、次になる業務を依頼したいという他部署からのお願いもあったりしています。そういったところで福岡の方も人材を増やそうと今動き出しているところです。

今の話にも繋がりますが、人事系の仕事・経理・総務、そういったところでも僕が考えた中ではサテライトオフィスで行える業務はまだまだ切り出せると考えています。そういったオペレーション業務を確実に遂行できるように各部署でも考えてもらわないといけないのですが、今後の働き方としては「全国どこにいても、仕事ができる環境さえ整えば仕事はできる」と思っているので、この考えを全国に拡大していきたいなと考えています。

保育園ですが、今回の新型コロナの間でもほとんどのうちで運営しているほとんどの園が休園していません。医療従事者の方のお子さんですとか、社会インフラに関わる勤務をされているご両親のお子さんもお預かりしていました。当然のことながら出勤する人数も減らしはするんですが、みんな毎日交代で勤務しています。

保育園というのは毎日ずっと開いている状態だったんですね。そういった中で元々保育園で行事ごとがあったりすれば制作物を作るのも職員のみなさんの業務の一つなので、一点集中で作り上げて各施設に送る仕事もメンバーズギフテッドさんとの間で話し合いが行われました。新しい業務、要は作業所を作ってこういった保育園等で使われる物を作ったり、それを各施設に配ったりする。そういったことで保育園への貢献をしていければいいかなという風に考えています。

 

Q&A 

進行役:株式会社メンバーズギフテッド 石後岡 学氏
回答者:株式会社グローバルキッズ 久代雅人氏

※ZoomのQ&Aレポートに寄せられた質問リストを元に進行しています。

質問1「障がい者の定着率100%、退職者0人はすごいと思うのですが、セミナーでお話されていた勤務希望条件のヒアリングや声掛けの配慮以外で工夫されていることはありますでしょうか?」

■久代

メンバーズさんもそうですけど、合理的配慮というところは勤務開始前に確認させていただいているので、そこに対する配慮というのは関係している人間全員に周知をさせてもらってます。

例えば入社時に「パソコン業務が得意です」「電話応対が得意です」と言われた方が実際入って働いてはみたものの、自分のイメージと違っていたという場合も往々にしてあるんですね。そういった時には、その人がどのぐらいまで得意なのかっていうところまで聞かせてもらいます。どういう電話応対だったら得意なのか、苦手なのかということを聞きこんでいく必要があります。本人が「こういう人と話するのは凄い全然平気なんですけど、この気難しい人と話するのはすごく苦手なんです」という相手による得意不得意というものが出てやっぱり出てくるんですよね。そういった所は働き出してからしか分からないところがあるので、さらに配慮が必要なところはメンバーズギフテッドの石後岡さんに間に入っていただいて、ヒアリングしていただくことで解消していますね。

■石後岡

採用がやっぱり、すごくポイントになってくるかなと思いますね。グローバルキッズ様のホームページを見ていてもそうなんですけれども、共感度が高い方をしっかり採用されているなと思うんです。

入社してから「何か違う」「思ったより違う」ということは、どんな仕事でもあるかと思いますが、根底にお仕事の簡単さだとか、そういったところを最終的な基準として選んでいなくて「子供たちの未来のために」ということを先ほどおっしゃいましたが、根っこがすごく繋がってるなと感じているのですが、採用面でもそういったところは非常に重要視されているのでしょうか?

■久代

そこは多分重要なポイントになってくるかと思います。同じチームで働くのであれば、やはり共感するべきところは共感して行ったほうが多分お互いにとって働きやすい環境になると思います。

■石後岡

その辺がポイントになってきて、なおかつ一緒に乗り越えて行くという感じなんでしょうか。入った後に配慮も必要だよねというところも含めて一緒に解決していく、そういう姿勢がやはり定着率100%に繋がってきているのかなと思っております。

質問2「現チームで既に精神障がいを持つ方と一緒に働いています。現場の同僚として工夫できることはありますでしょうか?」

■久代

この工夫できるところというのは、最大限配慮して一緒に仕事をしていらっしゃっていて、さらにその先、その人との間で何か行き詰まっているものがあって、それを工夫したいのかな?という風に見てもいいんでしょうか?

結構デリケートな話だと思うんですけど、今この質問を下さった方は「最大限配慮した上でさらにもっと何かをしなければいけないんでしょうか」っていう風にお聞きになっているのか?ということですね。「十分やっていらっしゃるんであれば、更にそれ以上工夫することはない」と思うんですけれども、もしこの見方をされているんであれば、何かにこうちょっと困っている部分がおありになるのかなって思いました。

これは本部だけではなく現場も含めてお話させていただきますと、精神の方の場合は悩み事というか配慮しなければいけないことが多岐にわたっているのと「会社としてもこれ以上はもう配慮出来ませんよ」という線はやっぱり引かないといけないんですね。「これ以上やっちゃうと、本人にとっても良くないし会社にとっても良くない」という、ある程度の線引きです。それについてはご本人に納得してもらうまでお話をさせてもらってます。

この配慮っていう言葉の線引きがすごく難しくて。

「どこまでやるのが配慮ですか?」
「すべての要望に応えるのは配慮ではないですよね?」
という話し合いに長い時間を費やしています。

電話ですとか、現場に出向いていって、業務指導するというお話をさせてもらったんですが、その辺りはお互いが納得いくまで話し合いをしています。特に現場ですね。石後岡さんに間に入っていただき、指導をしていただいているケースはそこでほぼ完結できているので問題ありません。

僕がその精神障害を持っている方で一番気を使っているのは、そのご本人がもしかしたら「思い違いをしているんじゃないか」とか「本当に辛い思いをしているんじゃないか」というのは、実際話してみて面と向って話を聞かないと分からないことがあったりするので、そこはなるべく突き詰めて話をするようにはしています。

面と向かえばなんとなく「今、悩んでるのかな?」とか、表情や雰囲気で読み取れるので、「何か悩んでる事あったらちゃんと言ってね」などと、声がけはするようにはしています。

■石後岡

今おっしゃったように「これ以上~」という線引きはまさに合理的配慮ですね。合理的という言葉がつくのはそこだろうなぁということですね。

まずは大前提として、我々は紹介するときや面談をするときに「ご自分がなすべきことをしっかりやりましょう」ということを言うんですね。自分以上に自分のことを分かっている人というのはお医者さん・事業者さん・訓練施設の方などいらっしゃるかもしれないんですが、一般雇用の中では自分以上に自分のことを理解している方はいないので、

「自分のことはしっかりやれることがありましょう」
「可能であればお願いしたいことをしっかり伝えましょう」
「何か差分が出てきたときには、そこは自己発信でしっかりとやっていきましょう」

できるできないというのは先ほど久代様がおっしゃった通り、ある一定ラインは常識にあるかと思いますので、そこについて納得いくまでしっかりお話をすることが私もすごく大事だと思っております、それがご本人様にとってこれから長く働いていく上で大切なお話なのかなという風に感じ取っておりました。

一人一人きちんと向き合ってというところは、なかなかできるようで難しいことですけれども、同僚として他の障害の種別の方と違ったみたいな文脈でも捉えられる可能性もありますので、私からのアドバイスとしては、やはり入社するときにしっかりと受け入れのためのミーティングを行って「どこまでの範囲で障害を伝えるのか」「どういう配慮が必要なのか」ということについて、困ってからではなくて、入社するタイミング、あとは月一のフィードバックのタイミングでもいいんですが、そこでしっかり伝えて理解した上で、スタートすることが大前提ですね。そこがないとお互い手探り手作りで、分からないゆえの摩擦が起きたりすることもあるかなと思っています。入社のタイミングは一つ大きなポイントですね。

質問3「日本で障がい者雇用を広めていくためには何が必要だと思いますか?」

■石後岡

「まだまだだな」というところも、正直私ときどき感じるときもあり、逆にいうと「何が一歩企業様が踏み出せてないのかな?」「踏み出すものを躊躇しているのかな?」というところだと思うんですけれども。一歩踏み出して、久代様から振り返って「ここだったよね」「ここがターニングポイントだったよね」「こんな決断だったよね」ということは何かございますか?

■久代

僕は昔アメリカに住んでおりまして、障害に対する考え方・接し方というのはもう根本が違いました。一番最初うちの会社で障がい者雇用をするときに、園へ出向いていって職員全員に説明したと言いましたが。その説明をするときに「これは社会的に意義のあることなんです」っていうところから始めたんですよ。

例えばアメリカと日本の違いとしては、アメリカでは障害を持っている人に手を差し伸べるのは日常生活では当たり前のことで、日本はどちらかといえば人の目を気にして「やっていいのかな」「やっちゃいけないのかな」というちょっと奥ゆかしさみたいなものがあったりしますよね。すぐに手を差し伸べられる人って日本人には少ないと思います。

■石後岡

気付かないフリをするのが優しさ、みたいなところがありますよね。

■久代

そういうのが日本の会社の風土の中にも強く残っています。障がい者不足数に対して「1か月5万円払いなさいよ」というのは一応国策では決まっていますが「障がい者を雇わなくてもお金さえ払っときゃいいや」と考えている会社が多いのが現状だと思います。僕が以前勤めていた会社は、もうまさしくそれを口にしているような会社でしたね。おそらく他の会社もみんな同じでしょうね。

その考え方そのものが変わっていかない限り、障がい者雇用はスムーズに進んでいかないと思います。ですので、今法定雇用率のパーセンテージを上げていったりですとか、社名公表をするですとか、そういった対応策でなんとかやっているような状況ですので「もっと障害を持っている人に寄り添っていかなきゃいけない」という考え方を持たないとダメだと思います。

■石後岡

そうですね。社会的に意義のあることだという動機付けで動くのか。もしくはペナルティが重くなるなどの理由付けで動くのか。その辺りのスタートの地点は我々もすごく大事だなと思っていますね。

ここは我々、障がい者雇用にかかわる人間の課題だとは思うんですけれども、グローバルキッズさんをはじめとした熱意をもって採用活動をしている方々が、障がい者を雇用することが会社の業績アップに繋がるということを示していくことが何よりも大切なのかなと思いますね。会社として障がい者雇用をした方が経済的合理性もありますよね、というところですね。

メンバーズギフテッドの「ギフテッド」はそういう意味で、障害を持っているけれど技能や才能や専門性が高い方が活躍することによって、企業としても戦力として活躍している。そういった成功例がどんどん増えていくことで、障がい者を積極的に採用しようという動きが広まっていくことを目指しています。

どんなにペナルティを重くしたとしても、障がい者雇用のハードルを下げることはできないと思いますので、久代様と私でですね、これからの事例作りにしっかりとご協力させていただければと思っております。

 


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