Aidemy 石川社長登壇!地銀DXセミナー「金融機関におけるAI導入3つのポイントとDXプロジェクトの進め方」

デジタル庁の創設が発表されたように、日本の今後を左右するのは「デジタルトランスフォーメーション(DX)」です。
特に、コスト削減と次代のビジネスモデル確立が急務となっている地方銀行・地域金融機関においては、DXの取り組みが自行の生き残りに欠かせないばかりか、地域経済の発展への期待が掛かる取り組みとして期待されています。

一般的に、メガバンクと比較してリソース(ヒト・モノ・カネ)が十分でない地方銀行において、DX推進に欠かせない技術領域であるAI活用に取り組む上でのポイントと、AI導入含むDXプロジェクトを進める体制・人材・プロジェクトマネジメントについて、AIプロジェクトの内製化支援ソリューションAidemy Businessなどを提供し、金融機関含む各種業界のDX/AI活用の推進を支援している株式会社アイデミーとメガバンクを始め金融機関のデジタル支援に多くの実績を持つ株式会社メンバーズの地方銀行向け支援事業を手掛けるメンバーズルーツカンパニーが共催し2021年2月17日に開催されたセミナーにて解説いただきました。


登壇者紹介

石川 聡彦

石川 聡彦 氏
株式会社アイデミー 代表取締役CEO

東京大学工学部卒。同大学院中退。
在学中、研究・実務でデータ解析に従事した経験を活かし、法人向けAIシステムの内製支援クラウドソリューション「Aidemy Business」や機械学習モデルの実運用プラットフォーム「modeloy」を開発・運営している。
著書に『人工知能プログラミングのための数学がわかる本』(KADOKAWA/2018年)、『投資対効果を最大化する AI導入7つのルール』(KADOKAWA/ 2020年)など。世界を変える30歳未満30人の日本人「Forbes 30 UNDER 30 JAPAN 2019」選出。

溝井 貴久

溝井 貴久
株式会社メンバーズ EMCカンパニー プロデューサー
メンバーズルーツサポーター

ITコンサルティング会社にて、システム計画立案・業務分析・システム開発を経験。
その後、Web業界にて新規サービス立ち上げのコンサルティングや、Webシステム開発の事業運営責任者を経て、2018年にメンバーズに入社。
ビジネスモデルや業務・UXの分析を起点として、IT技術やWeb技術を駆使し、お客様と一丸となって事業改善の推進を行うことを得意としている。


 

第1部:金融機関における AI導入3つのポイント

はじめに

株式会社アイデミーの石川聡彦と申します。私の方からは「金融機関における AI導入3つのポイント」というお話をさせていただきます。

まず最初に自己紹介と会社の概要について簡単にご紹介させていただきます。改めて私の名前は石川聡彦と申しますが、名前のイニシャルを見ていただきますと、聡彦は「A」で石川は「I」です。生まれながらの生粋のAI人材ということで活動をさせていただいております

ちなみに小学生の頃は特殊ですが歌舞伎の子役でして、このような形で歌舞伎座ですとか、地方ですと博多座や金毘羅座などの地方劇場も含めて歌舞伎の公演をさせていただいておりました。

さて、アイデミーという会社は私が学生時代に立ち上げた会社でして、今年で創業して7年目になります。大学時代からAI機械学習関連の研究をしておりまして、そこでの経験をもとに事業化した会社です。

私達は「先端技術を、経済実装する。」というミッションを掲げている東大発のベンチャー企業です。東京大学が認定する東大系ベンチャーキャピタルから出資いただいて活動しております。

私達には金融のお客様が非常に多いです。一番多いのは製造系のお客様ですが、次いで金融業界、その次はIT業界、こういったエンタープライズが中心です。最近ですと主に大企業を中心にDX(デジタル・トランスフォーメーション)系の部門というものが立ち上がってまいりました。ですので、このような会社部門とご一緒に仕事をさせていただいているベンチャー企業です。

本日のアジェンダは、改めて「なぜDXとAIが注目されているのか?」ということ。

そして2点目は「様々な産業でのDXとは?」ということ。金融も含めてどのようなDXが進んでいるのか。

そして3点目、本題でありますが「DX実現・AI導入 3つのポイント」という形でお話をさせていただいて、最後に弊社で提供しているソリューションをご案内させていただきます。

なぜDXとAIが注目されているのか?

2020年には色々なニュースがあったと思うのですが、大きなニュースの1つとして「世界最大の時価総額を持つ自動車メーカーがTOYOTAからTESLAになった」そういったニュースがありました。

これは6月10日のニュースだったのですが、そこからわずか3ヶ月の期間でテスラの時価総額はトヨタのほぼ倍へという形でさらに成長をされております。ここから半年経って少し差は縮まっておりますが、テスラが非常に強化されているような状況です。

もちろん株式市場での評価は必ずしも会社の規模と一致するものではありません。1つの尺度に過ぎないとは思いますが、市場から将来的に稼ぎ出すであろう利益の合計が時価総額だと考えられておりますので、事業への期待感から時価総額がどんどんと上がっていくだろうと予測されております。

「テスラとはどんなイメージの会社でしょうか?」という風によくセミナーでお伺いさせていただくのですけれども、色々な声が出ますね。

スポーツカーメーカー、電気自動車の会社、イーロン・マスク、デザイン性、主にこういったところがキーワードとしてよく出てまいります。

下の方のフキダシを見てください。よくシリコンバレーではこのように表現されることが多いのですが「iPhoneにタイヤをつけたデバイス・メーカー」「自動運転前提のソフトウェア投資をしている会社」こういったイメージを持たれている方もいらっしゃるかもしれません。

テスラは電気自動車のカーメーカーですが、そこのプロダクトの作り方というのは、ソフトウェアファーストなわけですね。「iPhoneにタイヤをつけた」という表現をすることがありますが、テスラの自動運転を支えるソフトウェアやOSについては自動でアップデートされたり、アプリケーションを追加でダウンロードできます。このようなソフトウェアを中心として開発を進めているというのがテスラの特徴だと思っております。ですので、AIやIoTなどデジタル技術を駆使して自動車のDX(デジタル・トランスフォーメーション)に挑戦している会社だと言うこともできるのではないかなと思います。

1つの象徴的な例をご紹介させていただきたいのですが「バッテリーが切れてもテスラの車が走行できた」と、このようなニュースがありました。

2017年の出来事ですが、フロリダに大きなハリケーンが襲来しました。住民たちは急いで車で安全な地域へと逃げるわけですが、テスラ車は電気自動車ですので普段から充電していないと走れません。ですが驚くことに、バッテリー残量がないはずのテスラ車に乗り込んだところ、普通に運転できたという報告例がありました。

どうしてこのようなことが起きたのか、みなさんお分かりでしょうか? カラクリは非常にシンプルで「実は充電が切れていなかったから」です。

車を買う際の初期費用によって積まれているバッテリーが違います。60kwhのバッテリーと75kwhのバッテリーを積んだ車が販売されているのですが、実は積まれているバッテリーはどちらも一緒だったのです。安い方は「差分の15kwh分を使えないようにソフトウェアで制御をしていた」ということです。ですので、緊急時には気を利かせてこのソフトウェアの制御を取り払っていたわけです。

このようにハードウェアをソフトウェアで制御することによって、実際にプロダクトがメーカーの手を離れたあとも制御ができるわけです。このような方法でビジネスモデルのフレキシビリティが実現できます

このケースは緊急時に気を利かせて無料でバッテリーの制限解除を行ったというものですが、例えば今日1日だけバッテリーの容量を高めたい場合はお客様がスマホからクレジットカードで決済を行えばアップデートを行うということができるわけです。

これは例えばスピードの制御などにも使えるかもしれません。特に製造系の会社では「モノ売りからコト売りへ」というキーワードが使われることが多いですが、今までは車を売って数百万受け取るというビジネスモデルが基本だったものが、ソフトウェアを絡めることによってその後もお客様とのタッチポイントを複数作っていき、そこにもビジネスモデルを載せていく。

このようなソフトウェアとハードウェアを融合させる、DXという形でサービスを提供する方法は現在だからこそ可能になったことです。

 

「ソフトウェア」を使いこなした人がすべての産業の覇権を握る

Software is eating the world.

という言葉をFacebookの取締役であるマーク・アンドリーセンさんも仰っております。これは「ソフトウェアを使いこなした人がすべての産業の覇権を握る」ということを言っているわけです。

今、分かりやすく自動車の例で申し上げましたが、全ての業種業界に通じるものであると考えておりまして、やはりICT・データを活用した企業というのは市場から高く評価されているということは現状言えることだと思っております。

すべての産業でGAFAM、BATなどのIT企業が競合になります。例えばAppleであっても金融というところですとApple Payをリリースして決済の部分を取ろうとしているわけです。

日本のIT企業ですとソフトバンクさんやヤフーさんがPayPayというアプリをリリースされているように、ソフトウェア産業が金融業界に進出を始めている状況です。かつそれが金融だけではなく全ての産業に対してソフトウェア産業がどんどん進出しております。その背景には「Software is eating the world」という考え方があるものと認識をしております。

 

様々な産業での「DX」とは?

以上のようなお話をさせていただいた上で、今後どのようにしてDX(デジタル・トランスフォーメーション)が進んでいくのかというお話をさせていただきます。

「DX」という言葉は2019年頃に日本で特に使われるようになった言葉です。それ以前は「AI」という言葉がよく使われていました。

ちなみにこちらは2019年のガートナーのハイプ・サイクルです。テクノロジーのトレンドを示したものですけれども、人工知能がどこにいるのかと探してみますとちょうどグラフでいうところの坂を下っているような位置にいます。

ただ、DXもAIも同じような文脈でよく言葉が使われています。

AIという言葉ができる前の2012年付近では「ビッグデータブーム」というものがございまして「データを活用しよう」という話があり、そしてデータの利活用の一つの手段としてAIを使おうという話になりました。みなさんAIを触られた経験がおありかもしれませんが、AIは非常に便利な一方でメンテナンスコストについては非常に高いものなのです。

データをどんどん学習させないといけませんので、いわゆるコスト削減のようなテーマではなかなか機械学習・AIという技術はうまく使えません。むしろお客様にどんどん付加価値を作っていくような、そういった部分でAIは使われるべきだというところで、AIだけではなく色々なデジタル技術と組み合わせてビジネスモデルそのものを変えていこうというのがDX(デジタル・トランスフォーメーション)です。

DXという言葉はAIがかなりコアになることも多いですが「デジタル技術を組み合わせて新しいビジネスモデルを変革するということがDXである」という風に定義がされておりまして、こちらは経産省の定義なのですが「データとデジタル技術を活用して製品やサービス・ビジネスモデルを変革し、競争上の優位性を獲得すること」これがDXです。

「デジタルによる産業の革新」というのはいわゆるビジネスモデルを改善・改革するだけではなく「プロセスのイノベーション」「コストの削減」なども一部含まれておりますし、プロダクトの新しい付加価値をユーザーに提供するというものも結構混じって日本でもよく話されていることとなります。

ただ「プロセスのイノベーション」「コストの削減」という方向性の労働生産性の向上効果よりも、新しい付加価値を付けるという方が上昇効果が高いという風に試算されておりまして、新しい高付加価値・新しい製品サービスの展開を期待されているということです。

 

DX実現・AI導入 3つのポイント

果たして「DXの実現とは何か?」という部分に入っていきますが、私はソフトウェアの内製化が一番大きいポイントではないかと思っております。

このソフトウェアの内製化を進めていくために必要なのが全社の巻き込みリーダー人材の抜擢になってくるわけです。主に組織というところに注目をしながら「DXを実現するためにはどういうことが必要なのか?」という点について話を進めてまいります。

ソフトウェアの内製化について入る前に、従来のシステム開発はどのような感じだったのかというところを考えてまいります。

日本のシステム開発の場合はウォーターフォールで進んでいきます。企画を作って、仕様・設計を行って、システムを作り、テストを行った後で運用するという形です。

こうなってまいりますと、事業会社が行うことはまず企画をして、テストや運用を行います。金融の会社ですとシステム子会社が出てくるわけですが、システム子会社が仕様を設計して一部テスト運用についても協力する流れです。

そしてシステム子会社の協力会社がシステムを作ります。つまりシステム子会社であってもプログラムを書く、行動を書く、手を動かすということは稀で、どちらかといえば管理に重きが置かれております。実際にプログラムを書く部分は協力会社に基本お願いをするという形です。

またテストの専門業者、運用の専門業者がおりまして、テストや運用というのは彼らにお願いをするという形で、基本的にこのような構造で開発が行われていたわけであります。

これが従来型の強みである、ウォーターフォールで進むシステム開発です。要件定義をして設計して実装してテストをする。基本この通りに進んで前に戻らないというのがウォーターフォールの考え方です。完璧な要件定義をすれば完璧な設計もできるし、完璧な設計ができれば完璧な実装もできるし、テストをして内容が問題なければ本番環境でも問題ないというのがウォーターフォールの基本的な考え方です。

ただ最近アジャイル型の開発という考え方も出てまいりました。要件定義をして、どういう要件・何を目的にするのか決めた後はプロトタイプを作って確認するというサイクルを回していきます。そしてそれぞれ満足したプロトタイプができれば、統合してテストを行い、本運用しようというのがアジャイルな考え方です。

従来型のシステムはウォーターフォールで作った方がいい面も非常にあるのですけれども、特に最近言われているデジタルによる活用、新しいビジネスモデルの開発についてはアジャイル型の開発の方がむしろ合っているわけです。なぜなら完璧な要件定義や完璧な設計など誰にも出来ないからです。

「実際にお客さまに使ってもらって、そのフィードバックをベースに改善する」というのが最近のデジタルなソフトウェアの作り方です。ビジネスモデルを新しく作るとなるとアジャイル型の開発の方が向いているわけです。つまり正解がなく、トライ&エラーのプロセスを重視するのがアジャイル開発でして、実際に使ってみたユーザーの反応を見るスクラップ&ビルドが求められているといえます。

 

ある中国のソフトウェア企業が作ったロボットアームの話をします。カクテルを自動で作るロボットアームで、リキュールの入ったシェイカーを振ってカクテルを作ります。しかし、コップに液体を注ぐ時に、こぼしてしまうわけですね。「全然ダメじゃないか」という話なのです。

ただ、その後どこからともなく人が来て、こぼれた液体をふき取ってお客様にカクテルを渡すします。私はこの様子を見て、非常にアジャイルな作り方で機械を作っているなと感じさせられました。

トラブルがあれば、それをベースにソフトウェアをアップデートすれば良いわけです。組み入れたものであればデータがどんどん貯まりますので、もう一度モデルを再学習してより良い形にモデルを作ればいいということになります。

このようにデジタル企業のソフトウェア開発を考えてまいりますと、企画⇒仕様・設計⇒システム制作⇒テスト⇒運用といったものについて、やはり事業会社の中でやらなければいけないというところです。内製化しなければいけなくなります。

当たり前ですが、GAFAやTwitterなどのプロダクトの作り方は基本的にすべて内製して、その上で一部専門業者が関わります。企画であればコンサルティングファーム。仕様・設計、システム制作であればシステム会社や人材派遣の会社。テスト、運用であればそれぞれの専門業者などです。このような形で新しいデジタルのソフトウェア開発というのは進んでおります。

特に金融関係の会社様とお話をさせていただいておりますと、システムエンジニアは多いけれども、デジタル人材、デジタルのエンジニアは非常に少ないということを伺うことが多くなってまいりました。

やはりデジタルなプロダクトの作り方というのは、今までのシステムを作る延長線上にあると言うよりも、新しい考え方・新しい専門性が必要とされていると思うわけです。

 

「内製化」のための2つのアクション

内製化のためによく取られるアクションとのは2つありまして、1つ目は資本業務提携・合弁設立、2つ目が買収です。

特にメガバンクを中心に「資本業務提携・合弁設立」が非常に多くなっております。「買収」ですとAnyTechというAIベンチャー企業がJFEグループに買収されたり、Ristというベンチャー企業が京セラグループに買収されたというニュースがこの数年でありました。

ローリスクでデジタル開発に関するノウハウを得られて始めやすいというところが良い点です。逆にシステム管理の受発注関係が崩せないため、ユーザー企業側の理解が進まず、本来意図としていないシナジーが十分に発揮できないケースも多いという風に認識をしております。

ソフトウェアは受発注という関係で作ると、特に受注したソフトウェアベンダーの方は実際作る過程で

・もっとこうした方がいいな
・もっとこうするとお客様にとって良いサービスになるだろうな

というのは自然と見えてくるわけです。

ただ日本でよくされている請負型の契約形態ですと、なかなかお客様に提案しにくいのです。なぜなら工数が高まってしまう可能性が高くなり、自分で自分の首をしめてしまう形になりかねないからです。ですので、言われたものを作ったほうが良いだろうという形で、システム受注の方がより良いプロジェクトにするための提案をしにくい構造になっております。

次に買収のメリットとしては、取引先を買収することでスピード感のある開発が実現し、さらに重要度の高い案件に取り組めるようになります。こうなってくると完全に内製化しているものとほとんど変わらなくなります。デジタル開発チームを持っており売却意向のある会社の数は非常に限られております。技術やチームの採用目的での少人数の買収が多く、会社全体が変革するキッカケにはなりにくいです

ですので企業様で行っていることとしては、資本業務提携や合弁・買収を契機にしながらソフトウェアの内製化に必須な大規模組織を動かすための「社内人材の育成」が注目されているなと思います。つまり全社の巻き込みということが大事になってくるわけですね。

 

「使う人材」と「作る人材」

デジタル人材(AI人材)と申し上げてきましたが、その中でもAIを「使う人材」「作る人材」があるかなと思っております。「使う人材」が誰なのかといえば、銀行のデジタル戦略系チームというイメージがまず湧くと思います。そして「作る人材」というのがAIベンチャー企業や大学の研究室、制作会社です。

さらにそこから拡大する動きがあると思っておりまして、デジタル戦略のチームだけがAIを使うというよりも、やはり課題を持っているのは、例えば銀行であればRM(法人営業)やミドル・バックオフィスチームにあたるわけです。

彼らがAIを使いこなせなければなりません。どういう課題・どういう形であればAIで解決できるようになるのかということが分からないといけないということです。そしてAIを作る人材単位でも変わりつつあり、システム子会社や今までシステムの部分に強かった会社がどんどんデジタル人材育成ということにも力を入れておりますので、デジタルなプロダクトを作るということについても強みを持ち始めてきました。どんどんデジタル人材のすそ野が広がっております。

 

事業部の「デジタル人材」を強化する

先ほどの話に戻りますが、ソフトウェアはすべてを内製化しなければいけないというわけではありません。しなければならないのはコア領域が近くてカスタマイズ性が高いものです。

それ以外、ノンコアの部分やカスタマイズ性が低い物は基本SaaSやパッケージサービスを使ったほうが楽なわけです。一部カスタマイズ性が高いものはRPAや部分カスタマイズで対応します。このような形でSaaSやパッケージサービスを利用するということもある種、デジタルリテラシーの中に含まれてくるわけです。

ですので、その中では図の右上に値する領域の取捨選択と、それ以外の領域についてはできるだけゼロイチでシステムを作らずパッケージサービスを使った方がコストも抑えられますし、アップデートも見込めますので、こういったものに期待した方が良いと思います。ある種このような部分を区分けできる人材ですとか、右上の領域にある課題というのは何なのかというものを定義できるのもデジタル人材なのかなと思います。

このようにデジタル系の部門というのがいわゆる研究所やIT部門の中にできるところから始まるのですが、むしろ事業部を強化しなければいけないという形に変わりつつあります。

各事業部の中にDX推進担当を配置して、各部内でリテラシー教育を実施。PoC案件発掘を推進し、内製化をするということです。場合によっては最初の頃は協力会社さんにお任せすることもあると思いますが、イニシアチブは会社の中で握るという形式です。

やはり事業部側にもデジタルに詳しい人材が必要となる背景の一つとして、PoC開発と社会実装が全然違うということがあります。特にPoC開発、いわゆる試作品開発です。

これについては確かに事業部の協力がほとんどなくても研究所だけであるとか、DXチームだけであるとか、または大学の研究室の中で作ることはできます。

ただそれを社会実装する、現場のオペレーションの中に組み込んでいくとなると、色々な制約が出てくるわけです。ですので、最初から現場の理解と協力をしてもらうことは必須条件になってくると思っております。このような背景からも事業部のデジタル人材を強くするという動きが今進んでいると思っております。

このような意識は日本共通の課題でして、AIの導入を先導する組織・人材の不足は各所で叫ばれております。経産省はDX銘柄という形で企業を表彰する方向で施策を行っておりまして、2020年には35社が選定されております。

このような形で企業としてDXを進めていき、その中で組織を変革するということは非常に良いこと、大事なことだと経団連も提言をされております。

 

「イノベーター理論」から見るアイデミーの人材育成事例

ちなみに弊社のお客様でも、全社を巻き込んだ人材育成の事例があります。

SOMPOシステムズ株式会社様は技術者だけではなく、Non-技術者にも提供できる実践性というものを大事にして人材育成をされております。

一方でハードウェアに強いダイキン工業株式会社様では、主力商品のエアコンであってもソフトウェアによって制御される部分がどんどん多くなってきているという前提のもと、AIを技術者の一般教養にするというお話がありました。このように人材育成の裾野はどんどん広がっているという認識をしております。

このように全社を巻き込む中で大事なのはリーダー人材の抜擢です。

こちらは有名なイノベーター理論です。イノベーター層から広がっていって、そこからどんどんマジョリティ層に広がっていきます。機械学習という技術やデジタルの活用が会社を変えるような主要な技術になるかというと、一部のAI企業を除いてほとんどの会社では保守的に見ていたり、懐疑的な方が非常に多いと思います。

おそらくこのセミナーをご覧いただいている方、地銀様や大企業の方が多いことは承知しておりますが、その中でかなりイノベーター層に近い方がご参加されてるのではないかと思っております。

まず最初のフェーズ、特に今この2020年にDXを進めるというところでいきますと、社内にいるイノベーター層が誰なのかを見つけて、そのイノベーター層だけで組織や成功事例を作らないと保守層はなかなか動きません。ですので、イノベーター層を見つけることは非常に大事です

私達はAIの教育研修などをさせていただいておりますが、リーダー人材の抜擢が非常に重要です。こちらはある会社様での事例です。

74名に受講していただきました。ほとんどの方というのは10コースくらい受講されるのですが、どうして10コースなのかというと、だいたい会社が「10コース受けること」と指定するわけです。

ただ私達の教材というのは70~80コースありまして、指定したコース以外でも自由に受講できるわけですね。そういう方が実はどの会社でも10人に1人ぐらい出てきます。

つまり、かなり専門的な分野まで自主的に学習した層というのが自然にあふれ出てくるわけです。こういう方をリーダー人材として抜擢する、つまりイノベーター層であると考えられるので、そういった方を巻き込んで成功事例を作るというのが非常に大事ではないかと考えます。

途中でご紹介した事業部で強化するというところの中で、各事業部の中のデジタル人材が、教育研修ツールによって発掘できる可能性があるというのが非常に注目されているポイントだと思っております。

 

アイデミーのソリューション

最後に弊社のソリューションをご紹介させていただいて、本日の私のパートの方を終了とさせてください。

私達の問題意識としてはDX人材の育成を皮切りにして、会社の中での内製化支援、デジタルなプロダクトとソフトウェアの内製化支援を行いたいということが事業コンセプトです。

このような中でまず最初に必要なのはデジタル人材の育成だろうというところで、Aidemy Business Cloudというeラーニングのツールを開発し、提供させていただいております。

Aidemy Business Cloudの実績としましては、第三者からの評価もございまして、日本の中で一番使われているサービスだと認識をしております。

また人材育成を皮切りにして機械学習の運用を楽にするプラットフォームもリリースしておりまして、組み合わせてサービスをお使いいただくことで低コストで色々な会社のソフトウェアが運用できるということが非常に大きな特徴になっております。

私達は教育研修とシステム開発の支援の2本柱でAI・DXの内製化をサポートさせていただいております。もしご興味がございましたらぜひお話しさせていただければ幸いでございます。私からは以上でございます。ご静聴ありがとうございました。


第2部:地銀AI導入のすすめ

はじめに

私の方からは「地銀AI導入のすすめ」ということでお話させていただきたいと思っております。今回「地銀」という風に銘打ってるのですけれども、地銀に限らず金融機関の方々がお困りの部分にフォーカスを当ててお話ししたいなと思っておりますので、金融関係でないみなさまもぜひ自社のサービスに置き換えてご覧になっていただければと思っております。

改めまして、株式会社メンバーズの溝井貴久と申します。

まずは自己紹介として私の経歴についてお話しします。元々は大手のITコンサルの会社出身でして、業務改善や基盤システムに携わる仕事を行っておりました。その後はWebマーケティングという「どのようにしてWebのデジタルを使って売上を上げていくのか」という方法論を学びまして、現在ではUXの改善を手がけております。

直近携わっているプロジェクトの例で挙げますと、銀行さんであればメガバンクさんが多いのです。法人系のローンの改善をしたいということで、予約システムを改善するプロジェクトですとか、社内のコスト削減の領域です。

少し毛色が変わったところですと、コロナ禍以降リアルタイムでイベントが開催できないということで、VRを使ったイベント・展示会にも携わりました。その他は収益源を新しく増やしたいということで「何か新しいWebのサービスを作れないか」とご相談いただくようなことが多くなりまして、各種サポートをさせていただいております。

今日私の方からお話しする内容は以下の通りです。

 

01:DXにおけるAIの観点

どういうことがAIに向いているのかということを、先ほどの石川さんの方からもお話があったのですけれども、それを少し補足するような形でご説明したいという風に思っております。

02:銀行におけるAIの導入領域

具体的にどういう領域があるのかということを簡単にご紹介したいと思っております。

03:AI導入の投資対効果

ここが一番関心がある所かと思いますが、非常に難しいところでもあります。どのように考えていくのかという部分についてお話をしていきたいと思っております。

04:メンバーズのDX案件事例

弊社の携わる事例をご紹介したいと思っております。全てが全てAIというものを使っているわけではないのですけれども、一部AIを使っている案件もありますのでご紹介をしたいと思っております。

05:内製化の進め方案

これも先ほど石川さんのお話の中にもありましたが、具体的にはどういう体勢で案件が住んでいるのかという紹介をしたいと思っています。

06:地銀におけるDX・AI導入

最後に地銀さんだけではなく、弊社のサポートできる領域でサービス紹介をいたします。

 

01:DXにおけるAIの観点

早速なのですが、DXにおけるAIの観点のポイントです。

今回はAIについてセミナーを行っているのですけれども、必ずしもAI導入というのは必須ではないのかなという風に思っております。同社のAIというのがトレンドですので、導入を前提で検討しがちだなと思ってるのですけれども、本当に必要なポイントにだけ導入していくべきであると考えております。

その考え方のポイントですけれども、まずDX自体で言いますと、まずの「顧客の視点からきちんと自社のサービスが捉えられているだろうか?」ということがあります。

1つ1つの業務や提供しているサービスに対して、お客様がどういうところに価値を見出して使って下さっているのか。どういったところに不満があるのか。ということをきちんと顧客視点で捉え直すということが大事で、お客様が求めている物というのはもっと抽象的なレベルでいうと

「使いたいとき、いつでも(24時間)使いたい」
「いらない情報は必要ない、自分に合った情報だけ提供してほしい」
「あまり知識が無いのでわかりやすく説明してほしい」

などといったものがあるのかなと思っております。

要望を実現するとき「AIを入れるべきか?」ということを考えます。必ずしもAIを利用しなくても担当者の業務を改善するだけで実施できることもありますので、きちんとAIでやるべきかどうかという判断が求められるのかなという風に考えております。

特にシステムですと、AIには限らないのですけれども24時間サービスへの対応が必要であるですとか、大量に処理しなければならない場合やリアルタイムに返事をしなければいけない場合には向いておりますので、そういう場合はきちんとAIやシステムを導入するということを検討した方が良いでしょう。

 

02:銀行におけるAIの導入領域

では続きまして、銀行におけるAIの導入領域についてお話ししたいと思っております。

まずこちらは地方銀行さんを例に挙げておりますが、大きくAIを導入するにあたっていくつかの方法があるかなと思います。

まず目的別に挙げると、1つ新規のチャネルを増やしたいということで、例えば審査のプロセスにおいて一部AIを導入したい場合。あるいはターゲットマーケティングという主にWeb広告の部分などに活用したい場合などです。

先ほどのお話しの中で「地銀の新しいサービスを広げたい」という内容があったと思うのですが、最近ですとコンサル部分の領域を広げていきたいということがありますので、渉外用のタブレット活用の分野でAIでレコメンドしていくといった内容が多いかなと思っております。

取引の深耕というところでより深くお客様とコミュニケーションを取っていくという点に関しては、WebサイトであればUIの改善があります。最近ですとアプリを色々なところで制作しておりますので、そういったアプリの改善があります。他にはコールセンターのデータ統合やそういったものもあるかなと思っております。

様々な地方銀行様でヒアリングをさせていただいたりご相談に乗っておりますが、今のDXの進捗具合というところで申し上げると、だいたいコスト削減というところがすごく進んでおりまして、代表的なものとしては店舗やATMの統合ですとか、ペーパーレスの対応などがあります。

今くらいの時期には、どこの銀行さんでもちょうどその辺の対応が終わっていて、いよいよ収集したデータを使って新規チャネルの獲得や売上を上げるための施策について検討していくステージに来ているのではないかと感じております。

 

03:AI導入の投資対効果

こちらはタイトルが間違っておりますが「投資対効果の見極め」ということでお話ししたいと思っております。

特に銀行さんの中で社内の稟議を通す際に非常に悩みの種となっているのが、コスト削減型のものです。例えば5人で行っていたものが3人でできる場合は非常に試算がしやすいです。「年に人件費がこれだけ減らせて作業時間が減らせるので、これだけ投資対効果があります」ということが説明しやすく予算が獲得しやすいです。

マーケティングの場合ですと「この施策を実施したからどれだけ儲かります」というのが非常に説明しにくいのかなと思っておりまして、それ故になかなかみなさん着手しにくいという風に感じています。

AIの導入については色々な投資が必要な部分でして、仮説検証して何度も繰り返して試してみる必要があるため、結構な費用がかかります

ですので、例えば地方銀行さんが独自にカスタマイズしたAIを導入したいとなると、本当に年間で数千万単位の予算が必要になりますし、単純に年単位で終わってしまうのではなく、2~3年という風に改善して続けていくことを想定した予算の確保が必要になってくるために、強い覚悟をして導入に踏み切らなければいけないのかなという風に感じております。

AIの導入を検討するにあたってはこちらに書いてありますように、それぞれ施策についていったい何のために実施するのか。ビジネスにおけるどの部分に有効なのか。そういった部分について行内や社内で意識合わせをしたうえで投資をしていくということが必要だと感じております。

 

04:メンバーズのDX案件事例

次にメンバーズの行っているDXの具体例についてご説明したいと思います。

一言でDXといっても、様々な定義の仕方があるとは思います。かなりフワフワしているので分かりにくいですけれども、弊社のDXというのは「売上を上げていく」「ビジネスを拡大していく」ことと併せて、最近ESD投資というところがありますけれども、非常にサステナブルな、地球環境に優しいというものが両立できてこそ初めて価値があるという風に定義しております。

その中でもメンバーズではDXの段階を3つに分けていまして、まずDX1.0がコスト削減系です。DX2.0は売上を上げていく、LTVの価値を上げていくということに着手します。DX3.0は既存の領域以外の部分に対して、チャレンジしていくというものです。以上のように細かくステージを分けております。

では1つ目の事例に入ります。

まずコスト削減系の事例です。こちらは大手金融機関様の住宅ローンの業務改善についての内容です。

元々どのような課題があったかと申しますと、住宅ローンの事前審査に関しては来店不要でWebで申し込みができるのですが、そこから先の手続きというのが、電話や書類の郵送が必要になるなど、様々な媒体を使う必要があり、エンドユーザー様の満足度が非常に低く、手続きの途中で他のものに乗り換えてしまったり、後回しにされたまま忘れられたりといったことが多発しておりました。ですので、申し込みから手続きの完了までシームレスに繋げられるサービスを提供したいとご相談がありました。

実際にどのように課題を解決したかについてですが、先ほどの顧客の視点がすごく大事という話をしたのですが、まずは業務を担当しているメンバーとお客様について

・普段サービスを使っていてどのように感じているのか
・どの辺りに満足しているのか
・どの辺りに不満を持っているのか

そういったところを調査いたしました。

仮説として出てきたのは、

・窓口になる担当者が毎回変わってしまう
・コールセンターでの問い合わせ中にたらい回し状態になってしまう
・毎回1から説明しなければならず、労力がかかる

このようなものがありましたので、きちんと情報連携が内部でできるように整備することにしました。お客様の視点に立った際にコミュニケーションのデザインがきちんとできているかということを考えつつ、サービス全体・画面の設計といった部分に加えて、詳細な部分に関しても弊社の方で仮説検証して構築を進めました。

具体的に一番ポイントとなったのが、審査を申し込んだお客様が「どれくらいの時間で回答があるのか分からない」という不安を持っているという部分でした。それに関してはマイページの改修という形で審査の進捗状況が閲覧できるようになりました。

数値的な成果で言いますと、改善前から比べるとコンバージョンで20~30%くらい向上しておりますので非常に効果があった施策ではないかという風に感じております。

 

では続きましてDX2.0レベルです。こちらは売上をどうやって上げていくかという部分がテーマです。これ別の大手の金融機関様の事例です。これはMAの活用ということで具体的にはSalesForceを今回は活用しております。そちらを使ってどのように改善したかということについて説明します。

元々改善する前に関してはお客様がリアルタイムで店舗に訪問している情報などについての管理はされておりました。お客様は必ずWebを見て色々な情報を集めた上で情報を得て投資をするかという判断を下しております。ただ、リアルタイムの店舗情報とWebで取得したログを繋げなければ詳しいことは分からないのではないかということでMAの導入に至っています。

今回の件は細かい部分ですが、現在においても数百本ほどのシナリオがあります。これを最初は大きく8本程度にお客様のセグメント分けを行い

「このようなお客様に対しては、このタイミングでメルマガを送信しよう」
「メルマガの内容もこのような内容が入ったものにしよう」

といったように、細分化をした上で提供していました。「結果としてどれくらい改善されたか」という点ですが、具体的な数字を申し上げることは難しいのですが、先ほどと同等の改善効果が見られました。

 

では続きましてDX3.0です。これは新規のサービス開発です。金融機関様向けの事例ではないのですが、あるクラウドサービスを提供しているお客様に対して今まで提供していたサービスとは別のモデルで収益が増やせないかというご相談いただきました。そういったところからアジャイル型のプロジェクトを実施したという事例です。

それまでお客様はウォーターフォール型で実施していたのですが、新しいサービスに数千万単位の投資を最初から行うのは難しいということで、最初は小型のサービスで提供してみて反応が良ければ大型の投資に切り替えようという判断がありました。

本件で弊社はシステム開発だけを担ったわけではなく、サブスクリプションでの新規サービス開発ということでしたので、

・金額帯として、どれぐらいのものであれば契約に結びつくのか
・多様化する決済方法から、どれを選択するのか

そういったところも含めてビジネスの上流の部分についても関わらせていただきました。

初期の段階が最も苦心した部分でした。進め方としては完全にシステム化してしまう前にモックといわれる簡易システムをまず作って、その段階でお客様に実際に触っていただき

「こういうものであれば、使いやすい」
「こういったものであれば、契約したくなる」

といったプラス方向でのフィードバックをいただいた上で「これなら投資してもいけるな」という確証を持ってから、プロジェクトを進める。こういった流れで進行したことが非常に良かったと感じております。

こちらは最終的リリースも終わったものですが、申し込みの目標値に関しては狙い通りクリアすることができました。

 

05:内製化の進め方案

先ほど内製化する領域について石川さんの方からご説明がありましたが、地銀さんのご相談に乗っておりますと「実例として何人くらいで行っているのですか?」という質問が非常に多いのが特徴的でした。

私が携わっているようなメガバンクの案件ですと、ピーク時で弊社の方からも30人ほど投入するかなり大型のプロジェクトとなります。ただ突然30人になることはありえません。まずは1~2人ほどで「まずはどういったところから着手や投資をするべきか」という交通整理のようなところから入るケースが多いかなと思っております。

特に地銀さんの予算規模についても、メガバンクさんと同等規模の予算を準備することはなかなか難しかったりもしますので、そこに関しては少人数で回せる範囲で行っていく形となります。

また時間軸についても中長期的にどの部分を内製化していくのか。何年後にどういった形でどの部分に何人くらいのデジタル人材を育成していくのか。外部のパートナーを使う必要があるのかどうか。などを考える必要があります。

今回は1つの例としてですが、初期の段階で「これからDXやAIを使ったものを何かやりたい」ということであれば、行内・社内の中の人材が1人や2人しか準備できなくても可能ではないかと思っております。

地銀さんがお困りになっているのが、Webサイトのリニューアルに携わった経験を買われて、半ば強引に新規のDX部署に配属されるようなケースです。そういったケースに関しては「まずはどこから着手したらいいか分からない」と言うことが非常に悩ましい部分だと思います。

先ほどデジタルの施策について色々と例示させていただきましたが、まずはそこの部分で「どこに投資するべきか」というところをきちんと整理して、目標をきちんと指標化してKPIを立てる。そういったところから、例えば弊社や他の外部のパートナーを入れて進めていくのが良いと思っております。また3~5年後という中・長期的なところのスパンに関しても、全部社内でまかなうことはせず、一部外部のブレーンを使ってノウハウを仕入れる、あるいは客観的なアドバイスを受けるなどといったことは続けた方が良いと思います。

実際にサービスを開発するプロセスですが、会社ごとに方針がありますので、その部分までを行内・社内で行う場合もありますし、難しいのであれば人数比率を減らすこともあります。そこは段階的にふくらませていく方法が良いと感じています。

最後にマーケティングです。

今回地方銀行様の例を1つ挙げております。色々とヒアリングしていくと、

・今まで外注に丸投げをしていたため、行内に技術的なノウハウがない。
・地方にあるため、東京の大手企業のような優秀なデジタル人材の採用が難しい。

といったことについてお困りでした。

他にはそもそも予算がないとのことでした。これは内部で予算が確保できないという事実は実際にマーケティング周りを担当してみなければ分かりません。これは投資対効果がなかなか予測できないため、予算が確保できないのではないかという風に感じております。

これは地銀さん特有のことかもしれませんが、コスト削減などの観点から統合の動きがあります。今のタイミングでそこに投資をしてしまうと、結局統合後にも同じ場所への投資を行うことになり、二重投資になってしまわないかという懸念があります。信用金庫さんも同じなのですが、共同システムを使っておりますので、そこまで個別で行うべきなのか判断に悩んでいるというところがあると思います。野球に例えますと、限られた打席で出来るだけヒットを打たなければならない、非常に厳しい状況だという風に感じております。

この状況を打開するために、まずは利益構造の改革が必要です。自社の提供しているサービスのどの部分を手厚くやっていくべきかということです。これから着手するべきは、新規顧客を獲得する施策が大事なのか、それとも利益率を上げていくということが大事なのかということです。そういったことをきちんと整理していく必要があるのかなと思っております。

もう一点は顧客視点というところで、具体例を挙げますと地銀さんなどでよく話に挙がるのが、例えばサイトのリニューアルです。トップページで今イチオシのサービスを大々的に紹介したい。要するに自社の立場から「これを今を押したい」という発想で色々なアプリやサイトの設計が行われるのですが、お客様からすると「別にそれは求めてない、余計なお世話だ」と受け取ってしまうこともあります。そういった場合は提供しているサービスの形がお客様に本当に合っているのかということを一度客観的な指標として分析してみる必要はあると思っています。

地銀さんのお話を聞いていると、

・Webサイトのリニューアルは行ってはいるが、単発で終わっている
・ログのアクセス解析は行っていない

といった風に割とやりっぱなしになっています。

どこで満足度が高くて、逆にそこは満足度が低い。そういったことのプロセスをきちんとお客様視点で追っていくことが非常に大事だと感じております。

私からは以上です。

 

Q&A

進行役 :株式会社メンバーズ 神尾 武志 
回答者1:株式会社アイデミー 石川 聡彦 氏
回答者2:株式会社メンバーズ 溝井 貴久

Q1.歴史ある企業のDX事例やストーリーをご存知であれば教えてください。

石川

最近注目し直されているのが株式会社小松製作所の事例です。当時はDXという言葉がなかったのですが、2000年頃からすべての重機にGPSを取り付けて、どこに重機があるのか監視できる状態にし、盗難などを防ぎました。

さらには重機の稼働率の状況が分かるようになり、それがソリューションビジネスにもなりますし、盗難防止のような、ある種のサービスオプションが出来上がったというのが20年ほどのストーリーだと思います。当時はDXはおろかIoTという言葉もありませんでしたが、今考えると文脈に沿ったビジネスモデルだなと感じます。

やはりDXという言葉自体は一過性だと思っておりまして、ビッグデータ・AI・DXといった新しいワードがどんどん今後出てくるのだろうとは考えますが、本質としてはあまり変わらないだろうとは考えています。イノベーター層が率先して今までにないデジタルな技術や情報科学を使ってビジネスを創っていくというところはやはり一番セオリーとなるようなストーリーだと思います。

神尾

北國銀行さんの事例は地銀に限らずみなさん参考になるのではないかなと思っております。石川県に本社のある地方銀行さんですが、最近「コンサルティングバンク×キャッシュレスバンク×クラウドバンク 北國銀行」という本を出されておりまして、北國銀行さん自体が共同利用のシステムだと顧客本位のサービス提供ができないということで、それをパブリッククラウドに移行してシステム内製化というのはチャレンジされた結果、顧客視点でアプリの展開やネットバンキング展開が出来ているといった、チャレンジの歴史が書いてあります。

これは非常に業界に関わらず、DX推進の大変参考になるのではないかと思いまして、気になる方は是非この本を買っていただければという風に思いました。

Q2.日本のDXの根本的な課題を知りたいです。

石川

やはり私は組織のところが大きいと思っております。「DXとは何か簡単に答えなさい」と言われたら、私はソフトウェアの内製化だと思います。

そういった中にはやはり「DXで必要とされている、デジタルの技術を組み合わせたビジネスモデルを作る」ですとか、AI・IoTといった新しい技術を活用するといったことをやろうと思うと、必ず必要条件としてソフトウェアを内製するという話が出てくるわけです。

やはりそれを外部に発注する、受注するという関係の中でやり遂げることは非常に難しいと思っております。組織が課題だと思っております。

そういった組織の話の中で「使う人」「作る人」ということを言いましたが、全員が作る人になる必要はないわけですよね。ただ、AI技術者は銀行さんのような組織でも必要になってくる職種だと思います。そういった方が集まってくるのがデジタル系の部門だと思いますが、使う部分については全社員に教養として「当然のように身に着けるスキルである」という風に組織を変えていくことで、ソフトウェアの内製化が進むのではないかなと思います。

Q3.「社内にシステムエンジニアはいるが、デジタル人材は不足している」というお話があったと思いますが、社内でこれから育成していくべき人材像について教えてください。

石川

システム人材とデジタル人材を分かりやすく対比的に説明してしまったのですが、そのバックグラウンドとしては、システム人材というのは今までで言う「守りのIT」と呼ばれた部分です。

ソフトウェアのコスト削減やソフトウェアを使って業務を効率化する。お客様が使うシステムというより「社内的なシステムをどう良くしていくのか?」という部分にフォーカスが当てられた部分だと思います。

業務の効率化という意味でのシステムに長けているのがシステム人材です。やはり業務のオペレーションはもちろん変わってきますけれども、大企業さんの場合ですと特に数ヶ月という単位で変わることはないですよね。

ですので、ある程度しっかり要件を作り、しっかりものづくりをするのが大事になってきます。デジタル人材やDXが何なのかというと、ビジネスモデルを変えていくという話が非常に大事になってくると思っておりまして、つまりお客様が触れるシステムを作るという視点です。そうなるとお客様からの要望というのは毎日寄せられますし、競合がいいアプリをどんどんリリースしてきますし、毎月というレベルではなく、毎日・毎週ソフトウェアが更新されるわけです。そのスピード感に合う改善を繰り返さなければならないというのが、デジタルなプロダクト作りだと思います。

これはスキルとしてどちらが良い悪いではなく、何を重視するのかで変わってきます。よくDXとデジタル人材という話をしていくと結構デザイン思考の研修と組み合わせてお客様が導入されるケースが多いわけです。デザイン思考は別にDX・AI・IoTなど全く関係ない出自の思考体系です。

「顧客視点でモノを作りましょう」というのがデザイン思考のコアの部分だと理解しておりますが、やはりそういった部分を含めて単なるITシステム周辺の知識だけではなくて、そこと組み合わせることができる知識もデジタル人材とシステム人材でやはり変わってくるというのが大きい点だと思います。

社内でこれから育成するべき人材というのは、私はデジタル人材だと思っております。ある種システム人材は私は専門職だと思います。それに長けた方が必要です。一方でデジタルなものの考え方というのは教養に近くなる性質のものです。総合職に必要になるスキルだと思います。ですので、これから育成していく人材像というのはデジタル人材であって、デジタルなプロダクトに必要な要素を身につけていくことが今後求められていくと思います。

Q4.Aidemy Business Cloudを導入している企業様にとって、何を成果として実感されているのか、所感をお聞かせください。

石川

やはり中長期的なゴールと短期的なゴールというのは、成果として変わってくると思います。長期的なゴールで言うと

・新しいビジネスを作る
・新規事業を作る
・デジタルなものづくりをする

というのが最終的なゴールであると認識しておりまして、それを目指すのが一番大事だと思います。

ただ、どちらかと言えばこれはビジョンに近い話で、それをある種検証するサイクルを回すのは難しいわけです。

では1年2年という短期的な目標をどこに置いておくのかというところですと、やはり育った人材の数や資格の取得者数、研修の完了者数、Aidemy Business Cloudを使ってピックアップできたリーダー人材の数、こういうものを一旦の成果としている会社様というのはやはり多いですね。

それをKPIとして報告しつつ、実感という意味で行くとデジタル部門というのは各社出てきているわけですが、彼らが「仕事がしやすくなった」「現場の理解が増してきたように感じた」そういった部分は結構大きいなと思っておりまして、なかなかそこは定性的なところに留まってしまうのですが、そこがまず1本目なのかなと思います。

神尾

お話の中でどのくらいの講習を実際に行っていて、人によって大分先端的な部分まで学んでいるということが可視化されることで、社内でデジタルを推進していくリーダー人財的な人が可視化されると話があったと思います。

私もすごく良いなと思っておりまして、今日のテーマは地方銀行ですけれども、地方銀行さんにお話を聞くと、新しくデジタルの部署を作るために、色々な部署から人を異動させている状況です。

定量的な評価で、部署に適した人を異動するのはなかなか難しいのが現状ではないかなと思います。もちろん現場を分かっている方の方が良い場合があると思いますが、裏側でこういうeラーニングの仕組みを使うことで、その方の興味や熱心の度合いも分かると思いますし、その人がどのくらい身についているのか図ることができれば、部署に対する適正も判断できるのではないかと思います。

ですので、単に受けてもらう人たちのスキルアップというだけではなく、組織づくりに活かせるサービスという一面も大きいなという風に私も感じました。


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