2020年7月15日に開催した「リモートでワークショップやイベントを大成功させるための秘訣第3回のうち、公開可能な2人目のプレゼンテーションです。

新型コロナウイルスの感染拡大でリモート化が急速に進みつつある中、日々のコミュニケーションや仕事だけでなく、アイデア出し・議論などのワークショップ等を行う場合にも、リモート化せざるを得ないケースが増えています。

本ウェビナーでは、リモートで様々なイベント・ワークショップを実施している方々をお招きし、具体的なケース・事例を紹介いただくことで、「リモートでイベントやワークショップを企画・進行するためのテクニック」を存分にお伝えします。


1.50回以上のウェビナー開催でわかった、ウェビナー特有の問題点と解決策
2.やって気づいた「オンラインならでは」のイベント体験


登壇者紹介

株式会社メンバーズ
山本 翔子 氏
2020.3月までUX MILK(https://uxmilk.connpass.com/)のディレクターとして、イベント運営を中心に担当。オフライン・オンラインイベントの体験づくりに尽力しました。2020.2月に実施したオンラインワークショップの経験を元にお話しします。


プレゼンのまとめ記事

株式会社メンバーズの山本と申します。
今日は”やって気づいた「オンラインならでは」のイベント体験”というタイトルで発表させていただきます。

 

まず簡単に自己紹介をさせていただきますと、現在は社内向けの人事や労務を担当しておりますが、私は昨年度(2020年3月)まで”UX MILK” というUXに関連したメディアやイベントを扱うチームに所属し、イベント運営を中心にディレクションを担当しておりましたので、そちらの体験を元にお話したいと思います。

 

私がこれまでにどんなイベントに携わったか

UX MILKが運営したイベントですと、大規模なものであれば”UX MILK Fest”という1日がかりの、登壇者40名とスタッフ40名が参加し、お客様も450名ほど来場されるイベントであったり、”Design Matters”が東京で開催される際に運営を担当しました。小規模なものであれば、大阪や神戸など様々な地域でイベント運営を行いました。今回はオンラインイベントの運営方法ということで、昨年の3月にオンラインワークショップというものを実施しましたので、こちらの運営体験をもとにお話をしていきたいと思っています。

私は運営を中心に仕事をしており、過去にオンラインとオフラインの両方のイベントを20~40種類ほど行ってきました。その経験の中で「これはオンラインのイベントならではだな」と感じたことを、みなさんにシェアさせていただきたいと思います。実際にオンラインのイベントを設計するときにご活用いただけたらうれしいです。

先ほど出たオンラインワークショップ。“ETHICAL UX WORKSHOP”といいますが、UXデザインと現在テーマになっているようなETHICAL UXの社会的影響や倫理の問題も踏まえて考えていこうというイベントを実施しました。

これはZoomとMiroを使った対話とワーク型のイベントになっていて、先ほどの轟さんのお話にも出てきたようなブレイクアウトセッションですね。それぞれの参加者が数人でチームを組んで、一つのテーマについてMiroを使いつつ、付箋などを貼りながら議論していくようなイベントでした。

こちらのイベントを実際に行ってきた中で、特に大事だなと感じるポイントが3つありますので、そちらを紹介していきます。

 

【オンラインのイベント運営で大切なこと】その1 「参加感の作り方」

リアルのイベントとオンラインのイベントで「ここが大きく違うな」と私が個人的に感じたのが、リアルは特に会社帰りに行く方が特に多いということです。例えばUX MILKであれば、他社のオフィスを借りて開催することが多かったですね。オフィスに出向いて受付を済ませ、カードを受け取って参加します。そういったこともあってプライベートではなく、オフィシャルな面が強かったです。

一方でオンラインの場合は自宅から参加される方が多いので、プライベートなイメージがあります。ボタン1つを押してZoomに参加すれば良いので、参加するまでの流れが全然違ってくるんですね。ですので「イベントに来たぞ!」という参加感をオンライン上で作る工夫が必要です。空気を作るということです。

具体的には、
・イベント開始時に音楽を流しておく
・「お越しいただきありがとうございます」など参加者に直接声かけをする
・目で見て楽しめるようなワークボードを作る
・チャットでお題を提示し、参加者同士で交流が出来るような空気感を作る

などをしていました。

 


2つほどピックアップしてお見せしたいと思いますが、例えばワークボードの場合はとにかく視覚的に楽しくなるように考えて作りました。リアルのワークショップであればテーブルの上に大きめの模造紙を敷いて、その上にたくさんの色ペンを無造作に置いておくことで非常にカラフルな雰囲気になり「楽しそうなワークショップだな」と参加者の意識を高めることができました。

どうしてもオンラインのイベントの場合はそういった参加感を演出するのが難しいので、とにかくワークボードにはこだわっています。スライドを見ていただければわかるように、色分けを大きくしているんですね。色ペンでカラフルに色が分かれているように複数の色を使い、視覚的に楽しく演出することでイベント参加感が味わえるように考えながら作っています。

チャットでお題についてみなさんに聞いていたのですが、ぜひ取り入れていただきたいなと思うのがオンラインならではのテーマにするということです。私たちの場合は今日用意した飲み物が何かということを聞いていたんですけれども、いわゆるアイスブレイクですね。

リアルのイベントに参加する場合は「今課題に思っているテーマは何ですか?」など、固めのアイスブレイクの内容だったりすることがあります。せっかくオンラインで自宅から参加していただいているので、参加者の意識を運営側に引きつけながらイベントが出来るように、自宅にいるからこそ出来るテーマを設定しておくと、実際にイベントに参加しているような感覚を演出できるのではないかと感じております。

 


チャットでお題を出す場合には「みなさん、どんな飲み物を飲みながら参加していますか?」など気軽な質問をします。考え込んでチャットに書き込みをするのではなく、反射的に思いついたことを書き込めるような話題で進めていくと、参加者が積極的に話題に入っていけるようになります。

 

【オンラインのイベント運営で大切なこと】その2:没入感の活用

先ほどと同じように、リアルとオンラインで分けているのですが、リアルですとノイズが多くて、オンラインだとノイズが少ないような環境になっています。

具体的には、リアルの場合ですとワークに取り組んでいる際に
・まわりの人たちが紙に書き込んでいる音
・周囲のささやき声
・隣のグループが話している会話の内容

などが自然に耳に入ってしまうのがリアルだと思うんですね。

オンラインの場合は集中しようと思えばできる環境です。自分の手元の音しか聞こえなかったり、ブレイクアウトセッションを使うと自分と同じグループの人以外は画面上に表示されないので、グループ内部の会話以外は聞こえません。

どちらが良い悪いではないですけれども、せっかくノイズが少ないオンライン上でイベントを開催するからには、没入感を活用してイベントを設計していきたいと思っています。

このときに大事なのがやるべきことをしつこく伝えていくことです。これが没入できるかやることがよくわからず取り残されてしまうかの分かれ目となってきます。

私が携わったイベントでは、様々な手段でやるべきことを何回も何回も伝えて伝えていたのですが、チャットを使って「今回のテーマは~ですよ」という案内はしますし、音声でも「移動しますよ」「ブレイクアウトセッションに入りますよ」という案内であったり「もうすぐセッションが終わって全体の場所に戻ってくるから、そろそろ閉じてくださいね」というアナウンスをしたり、スライドでも「次のテーマは~です」という案内を出したり、Miro上でワークを先ほど使って行うと言いましたが、Miro上でも「もうすぐ終わりますよ」という案内を文字を使って流していくなど、本当にやるべきことを、しつこくしつこくよく伝えていくのが進めていく上でのコツかなと思っています。

 

【オンラインのイベント運営で大切なこと】その3:アフター体験

オンラインだとリアルと違ってどうしても難しいのが、振り返りながら帰ったり、同じイベントに参加した参加者の方と繋がることが、どうしても難しくなってしまいます。

せっかくオンラインのイベントに参加したのに「ありがとうございました」と画面を切ったら余韻に浸る間もなく終了してしまうことが、すごくもったいないなと思っていまして、イベントの余韻に浸れるようなアフター体験づくりに注力しておりました。

“振り返りつつ帰る”という面では、一度会を閉めた後に同じZoom上で希望者のみの二次会(司会・スタッフは全員参加)を開催しています。リアルイベント後に行う対面型のアフターに近くなるように意識をし「今日のイベントはこんな感じだった」「ワークの中でこの話題が出たよ」など実際に飲み会のように気兼ねなく話し合いました。

このとき、注意していただきたいことがあります。2次会を開催するとどうしても内輪っぽくなりがちといいますか、知ってる人たちが多いとその人たちばかりで話が盛り上がってしまって、初参加の人たちが話題に入りにくいという難点があります。

その回避策としては初参加の人にチャットを使ってもらう方法があります。スタッフの中でチャット機能を担当する人を決めて、うまく会話の輪に入れない人が気兼ねなく参加できるように誘導してあげるわけです。

この方法であれば、
「今メインで話している話題じゃないけど、こんなことが気になった」
「実はこんな風に思っていました」

といった初参加ならではの意見が伝えやすいのではないかと思います。

また、そのときは「今回イベントに参加した方々はここで自由に交流してください」という意図のSlackグループを事前に作って招待する形を取りました。それぞれの部屋に分かれてワークを行っていましたので「〇〇グループに入った者です。今日はありがとうございました」と活発に挨拶が飛び交っていました。

Slackの利用は、何も使用しないときに比べると余韻に浸りやすいですし「他のグループではこんな話題が上っていたのか」ということがSlack上のチャットを通して見ることができますので、オススメです。

 

まとめ

オンラインのイベントを実施する上で、特に大事にしていただきたい点は3つあります。

1つ目は参加感づくりです。
イベントの冒頭部分で参加者に「つまらないな」「何やってるんだろう」などと思われてしまったら、その後はあまり参加せずにぼんやりと見たりですとか、ながら聞きをするなど、参加者の意識も下がってしまいます。そういったことでワークショップに熱が入らなくなってしまうのは非常にもったいないですので、参加感づくりは一番最初の段階で意識して行いましたし、力を注いで良かったなと思っています。

次に2つ目は没入感の活用です。
実際に話している人の顔を近くで見ることができるのがオンラインの特徴だと思うんですね。同じグループにいる人全員の顔が見える状態で話しますので、そういった部分を活用しながら、より没入感を生かしたイベントの計画を立てていけると、更にオンラインならではのイベントになっていくのかなと思います。

最後にアフター体験づくりです。
「終わりよければすべて良し」でもないですけれども、アフターでそのイベント自体がどういう印象だったか、感じ方が大きく変わってくると思いますので、アフターの部分についても、この機会にみなさんも一緒に考えていただきたいなと思っております。

 

【Q&A】

解答者1:カイロスマーケティング株式会社 轟 拓哉 氏
解答者2:株式会社メンバーズ山本 翔子 氏

 

アニメーションをつけると通信環境で画面がガタガタするので控えています。オススメのアニメのつけかたはありますか?(ディゾルブなど)

■轟

ディゾルブも良いですね。シンプルなものであれば何でも良いと思います。派手なものよりも、シンプルな方が見ている側としてもごちゃごちゃしなくて良いと思います。


 

ワーク型の参加者の年齢層はやはり若いのでしょうか?高役職の方には向かないですか?試されたことはありますでしょうか?

■山本

以前開催したときのテーマはETHICAL UXという少し上級者の方向けのテーマでしたので、年齢層は高かったですね。特に問題なく実施することができました。


 

miroなどに参加者が慣れていないと、操作に慣れることに時間を要して対話の質が落ちる懸念があると思いますが、どのような工夫をして解消していますか?

■山本

時間を細かく区切って体験をしてもらう形で進めていきました。

「付箋を使ってみてください」
「ワークやってどうでしたか」
「議論してください」

議論も一番最初は自己紹介のような簡単なところからスタートしていくなど、難易度を段階的に上げていくことで対話との両立を図りました。


 

音楽はどのようにしてかけるのですか?

■山本

音楽はZoomの場合だと、Spotifyといったものをパソコンに入れておくと音声共有ができるんですね。そちらを使っています。


 

飲み会的な二次会は何名くらい参加されるのですか?

■山本

前回開催したときは合計で10数名でした。メインの運営スタッフが3名、スタッフ業務を兼ねた参加者が3名。一般の参加者の方は5~6名ほど参加いただきました。

 


「リモートでワークショップやイベントを大成功させるための秘訣第3回」のプレゼン一覧

1.50回以上のウェビナー開催でわかった、ウェビナー特有の問題点と解決策
2.やって気づいた「オンラインならでは」のイベント体験


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