コロナ以降、多くの企業が急遽テレワークの導入に踏み切りました。それに伴い通勤時間がなくなったり辛い外回り営業もオンライン化したりと、一面ではとても働きやすい環境になりました。

しかし一方で、面と向かって話す機会が減ったことでコミュニケーションが少なくなり、「チームメンバーの状況がわからない」「チャットで連絡しても返信が遅いのでなかなか仕事が進まない」などといった現場側とマネジメント側双方のさまざまな課題が浮き彫りになっています。

これらの課題を解決するカギは、ずばりテレワーク環境に適した「コミュニケーションの仕組み」です。
本セミナーでは、5年間にわたりほぼ全員がテレワークでの会社経営・チームマネジメントを実践する中で著者池田が得た知見や経験を30分にまとめてみなさまにお伝えします。


セミナー動画

以下より当日のウェビナーを動画でご覧いただけます


登壇者紹介

池田朋弘

池田 朋弘 氏
株式会社メンバーズ 執行役員

「ユーザ視点をもっと身近にしたい」という想いからUXリサーチ事業を行う株式会社ポップインサイトを創業、同代表取締役に就任。2016年から全面的にリモートワークを導入し、2018年には総務省のテレワーク先駆者百選に選定される。2017年4月にM&Aにより株式会社メンバーズのグループ会社となり、2020年3月に代表取締役を退任。


 

はじめに

先日「30分でわかる!テレワークでもチームがイキイキとする仕組み作りとは?」と題しまして本を発売させていただきました。今回のウェビナーではその本の内容を30分にギュっと凝縮してご紹介できればと思っております。

私は池田朋弘と申します。現在はメンバーズという会社の執行役員ですが、以前はポップインサイト、イングクラウドという2つの会社のCEOでした。

ポップインサイトは2015年からフルリモートワークに切り替えまして、全国から人材を採用しております。現在の社員は50人くらいですけれども、北海道から沖縄まで幅広い地域の社員たちが活躍している状況です。

またイングクラウドという会社は、いわゆる直接雇用ではなく業務委託という形のクラウドソーシングというサービスを行っておりまして、今登録者が7万人おります。これまで案件ベースで何千人もの方々とリモートでコミュニケーションを行っておりました。

これらの経験から私が培ってきたノウハウを多くの方々に知っていただき、日々の業務に役立てていただくために今回本を出させていただきました。

この本ですけれども「テレワーク環境でも成果を出す チームコミュニケーションの教科書」というタイトルです。

既にテレワークについて取り上げた本はたくさん出版されておりますが

・テレワークの際に便利なツールの使い方
・テレワークという制度

などをメインで取り扱っている本が多いです。この本ではそれらよりもより実務的な部分であるコミュニケーションに焦点を当てて色々と書いています。

コミュニケーションだけでここまで書いてある本はなかなか存在しないのではないかなと思いますので、お話を聞いていただいて、みなさんの状況や課題にマッチするようであればぜひご活用いただけると嬉しいなと思っております。

 

01 テレワークでコミュニケーション課題が顕在化

テレワークでコミュニケーション課題が顕在化しているという話です。おそらく今日参加されている方はテレワークをかなり取り入れている方が多いと思いますが、みなさんが日々業務をする中でこんな課題はないでしょうか?

例えば

・雑談がしづらい
・相手の様子がまったく見えない
・連絡が遅くてコミュニケーションが取りづらい
・議論しようと思ってもイマイチ盛り上がらない
・伝えたいことがあってもうまく伝えることができない

とこのような課題についてよく話を聞きます。みなさんはどうでしょうか?

このような課題が起こる理由は様々あると思うのですが、最も根本的な考えとして個人的に思っていることをまず伝えたいと思っております。

みなさんの中でこの課題について「テレワークを導入したから、このようなことが起きた」という風に捉えている方もいらっしゃると思うのですけれども、私自身はテレワークは「誤魔化しが利かない」からではないかと考えています。

「雑談がしづらい」「様子が見えない」「連絡が遅い」という諸問題は、テレワーク導入前のことを思い出していただくと、既に似たような事例があったのではないかと思います。

これまではオフィスにいるメンバーそれぞれのコミュニケーションのスキルや関係性によって、組織やチームとして具体的な仕組みがなくても何とかなっていました。ところがテレワークに移行したことによって、個人の努力やスキルだけでは通用しない部分が増えて誤魔化しが利かなくなったことにより、このような課題が顕在化しているのではないかと推測しています。ですが、逆に組織・チーム・個人の考え方を変え、仕組みやスキルを身につけることによって、課題は十分に解決できると個人的には思っております。

こういった課題は「テレワーク由来のもの」だと考えている人もいると思うのですが、おそらくそうではなく、

・しっかり雑談をする仕組み
・様子を見ようという努力
・連絡を欠かさない努力
・議論しやすくする考え方
・伝えやすくする工夫

などが以前から存在しなかったため、テレワークに移行したことで顕在化しているだけであり、仕組みや考え方の方に根本的な問題があるという風に考えております。ですので「テレワークでも頑張ったら何とかなるはずだ」というのがまず1点目の内容です。

具体的な仕組みはこの後にご紹介しますが、では「どういうコミュニケーションのリテラシー能力を身につけるべきなのか?」というところで、次のセクションへ行きたいと思います。

 

02 テレワーク時代に求められる コミュニケーションリテラシ

これまでのコミュニケーションの考え方やスタンスは、みなさんこのような感じだったのではないでしょうか?

基本的にはオフィスに集まるため、同じような環境でみんな働いているわけです。色々な人がいるわけですけれども、似たバックグラウンド・状況の人が多いです。

結果として

・空気を読む
・阿吽の呼吸で相手のことが分かる
・ツーカーで伝わる

などといった、あえて説明したり表現しなくても相手が察してくれるという高い期待値を持っている方が多いのではないかなと思っております。

このような状況をコミュニケーションにおいてはハイコンテクストなコミュニケーションと言います。コンテクストというのは文脈という意味ですけれども、その瞬間の言葉や状況だけではなく、会話の前後の流れをみんなが読んだ上でコミュニケーションを取るようなスタイルを指します。

この文脈がどれぐらい効くかというところは、言語によって大きな差があると言われているのですけれども、世界の中でも特にハイコンテクストな言語は日本語と言われているのですね。

日本語に「空気を読む」といった言葉が存在することから分かるように

「あえて言葉に出さなくても、何が言いたいのか察して欲しい」

という期待があるのではないかなと思っております。

ところが、これからのニュースタンダードでこのハイコンテクストなコミュニケーションを駆使することは非常に難しいと思っております。

テレワークになると働いている環境が大きく変化しますし、オフィスに通う必要がなくなったことで様々な地域にいる人々がどんどんチームの中に増えてきます。ポップインサイトにおいても例えば子供を育てている方、持病がある方、家族を介護する必要がある方、働く地域も違いますし、働く時間帯すらも完全には一緒ではありません。

このような状況においては、

「空気を読んで欲しい」
「言わなくても分かるよね」

という日本固有のコミュニケーション方法を使い続けることはもはや難しいわけですね。

察してもらうのではなく、自分から伝えていかなければどうしようもないという低い期待値を持つ。ローコンテクストと言われるわけなのですけれども、こういった考え方でコミュニケーションを行ったり、組織としてもコミュニケーションを設計していくことが重要になると考えていまして、これがしっかりできている個人やしっかり理解した上で仕組みを作っている組織というのはテレワーク環境になってもおそらくうまく回っていると思います。

逆にこのような考え方はあまり持たずにハイコンテクストである前提でテレワークに突入してしまうと、雰囲気が掴めなくて、しかも「察してくれ」という期待値がお互いにあるので、うまくいかないという状況に陥りやすいのではないかなと思っております。

ローコンテクストの言語としては、例えば英語やドイツ語などです。やはり英語は文化が全く違う方々と同じ言語を使っているので「空気を読んでくれ」ということは非常に難しく、しっかり説明したり、伝えていないことは、そもそも伝わらないという期待値があるようでして、基本的にテレワークにおいては、ローコンテクストな考え方や前提についてみんなが理解し、しっかり表現していくことが最も根底で重要な考え方だと思います。

参考までにポップインサイトという会社では、行動指針としてリッツ・カールトンのクレドのようなものを制定していたのですけれども、大きなテーマとしては「自立」「尊重」の2つでした。

「自立」というのは、当然自分が主体的に仕事をするという意味でもあるのですが、ここでの意味は「しっかり自分の状況を相手に伝えるように表現していく」ことです。「自分を表現」という言葉で「自分から表現をしていかないと、人に伝わらなくて当たり前」という前提を持つように行動指針を設定していました。

また、メンバーそれぞれが

・異なった状況
・異なった考え方
・異なった前提

で集まっているので、それをなるべく理解・尊重して、自分の考えを押しつけるのではなく、相手を理解した上で良い関係性を作っていく。そういった意味を込めて「尊重」というキーワードを掲げました。この「自立」と「尊重」の2つを軸とした考え方・マインドセットを持とうという方針の基に組織運営を行っていました。

ただ、これを実際に行うのはすごく難しいんですよね。言われてすぐに出来たら、苦労しないと思います。

ポップインサイトでは長い間「自立」の中で自分を表現するために毎週テーマを決め、そのテーマに対してどんなことを行ったのかを全員で毎週の定例の朝会で共有していました。良い取り組みやプラクティスを共有していきます。取り組み自体はリッツ・カールトンという会社でやっていたことを参考にしているだけなのですけれども、これをずっと繰り返していくことによって、組織のカルチャーとして段々と身についてきます。

一朝一夕にできるわけではないのですけれども、ハイコンテクスト・ローコンテクストという概念の違いやローコンテクストでのコミュニケーションの必要性について理解しておくことが重要かなと思いますので、これをぜひ押さえた上でコミュニケーションの具体的な取り組みや設計をしていきましょう。

 

03-1 チームビルディングに欠かせない2つの取り組み「自己トリセツ」

これから具体的な取組みとして「チームビルディング」「業務遂行」「オンライン会議」というものから、それぞれ2つずつピックアップして具体的な取り組みをご紹介します。また「なぜそういう取り組みが重要か」という理由についてもセットでお伝えします。

具体的な取り組みについては過去の状況によって変わってきますが、Whyの部分は通ずるところが多くあるのではないかと思います。ぜひそちらを参考にしていただいて、みなさんの組織の中で応用を利かせながら使っていただければと思っております。

まず最初はチームビルディングです。イメージとしては入社したとき、チームが作られたときにどんな取り組みをすると良いのかという話をします。

1点目が自己トリセツです。トリセツは取扱説明書の略です。

「自分はこういった人間なので、こんな風に接してください」ということを自分で書いて開示するという取り組みです。スライドは私の取扱説明書の一部なのですが、

・どんなコミュニケーションをするのか?
・自分が気持ちいいと思うコミュニケーションは何か?
・自分が嫌だと思うコミュニケーションは何か?

この下には経歴であったり、趣味や好きなものなどが続きます。このようなものを作っておりました。

このトリセツを始めたのは障がい者の雇用セミナーに出た際にこのような取り組みを行っているという話を聞いたことがきっかけです。そのセミナーで講師の方がおっしゃっていたのは、障がい者の方というのはすごくコミュニケーションの特性がハッキリしているということです。

ある人は複数のことを言われるとうまく理解できない。ある人は文字で見ないと理解できない。ある人は話しているとすぐに疲れてしまう。色々なコミュニケーションの特性があり、その特性が理解されないと仕事が全然上手くいきません。

ですが逆にいえば、コミュニケーション特性を一緒に働く方々が理解してくれていれば、仕事が上手く回るはずです。そのために障がい者の方々は自分の特性をしっかり把握して、取扱説明書にまとめて、入社のときに渡すわけです。職業訓練所のようなところではそういう取り組みがされていたんですね。

それを聞いて私は「障がい者か健常者かといった話ではなく、誰にでも当てはまることだな」と思いました。

障害がある方というのはコミュニケーションの特性がハッキリとしているので、コミュニケーションを理解してもらえないと強く顕在化するわけですけれども、いわゆる健常者でも同じ課題はおそらくあるんですね。障害がある方よりは特性が具体的ではないため、何とかなっているだけだと思います。

お互いを理解し、合わせるところを合わせていった方が、明らかにスムーズに行くことは間違いないですし、障がい者なのか健常者なのかは全く関係なく、みんながやるべき取り組みだなという風に思いまして、この取り組みを会社に持ち帰って導入しました。

ポップインサイトの場合では入社したときにこれを書いてもらって、みんなで見れるようにする取り組みをしていました。なぜこの取り組みが大事かという話なのですけれども、まずやはりバックグラウンドに多様性があるというところが重要かなと思っております。

先ほどローコンテクストの話をしましたけれども、同じような会社で同じような環境にいるメンバー同士でも、実は家庭環境や育ち方、背景などが全然違うわけなのです。

ところが業務上のコミュニケーションをしているだけでは、そういったバックグラウンドを知る機会は少ないのではないかと思います。バックグラウンドを知らずにコミュニケーションを取っていると、どこかで相手が嫌なことを言ってしまったりとか、受け入れがたいコミュニケーションをしてしまうリスクが高まります。逆にバックグラウンドを知ってさえすれば何も知らない状態よりはリスクの度合いが全く違います

「自分と相手は全く違う人間だ」と思うところがスタートかなと思いますので、そういった多様性があるということを前提とすると「多様性をまずは明示しておかないと話にならない」というところがこういった取り組みが必要となる理由かなと思っております。

多様性がある中では、もちろん日々のコミュニケーションでお互いを理解することも大事なわけなのですけれども、こういう風に可視化することによって自分を開示しやすくなります

やはりきっかけが何もないと、自分のことをあえて話す機会というのは少ないかなと思いますが、あえて「あなたの事を教えてね」という組織やチームの仕組みを作ることによって、自己開示のきっかけになりますし、これをネタにして話を盛り上げることが出来ますので、何もないよりはお互いの自己開示が促進されやすいです。

 

03-2 チームビルディングに欠かせない2つの取り組み「相互1on1」

2点目は相互1on1ですね。1on1というのは色々な本でも取り上げられている通り、1対1で様々なテーマに関してしっかり話をする場です。多くの1on1というのは上司と部下、マネージャーとチームメンバーといった形で縦のラインで行うことが多いのではないかと思っております。ここで1on1と言っているものは、縦のラインだけではなく、チームのメンバーやチームを横断した横の関係の1on1をしていこうという話です。

ポップインサイトでは入社した瞬間に、当時は社員が30~40人いたわけですけれども、入社した人は全員と1人30分ずつ必ず1on1を行っていました。実は1on1の中で先ほど取り上げた「取扱説明書をお互いに見ながら話す」ということを人が増えてからもずっと行っていました。

このような取り組みがあることによって30分という短い時間ではあるんですけれども、1対1で話が出来ますし、繋がりもできます。繋がりがあることによって繋がりがないときより業務上もスムーズになると思いますし、別のチームであっても相談や議論がしやすい関係性が出来るのではないかと思います。

ハーバード・ビジネス・レビューにチームコミュニケーションの教科書のような内容の本がございまして、その中の研究結果で「チームの生産性が高くなる要因とは何か?」というところを分析されていました。

その中で重要だと感じた1つの要素がチームの中でのコミュニケーションのラインが多ければ多いほどチームの生産性が上がるという結果です。

定量的な分析の結果導き出されたものなのですが、繋がりがあればちょっとしたことも相談しやすいですし、何かあっても指摘しやすいわけです。従ってミスも減りますし、創造性も生まれやすい。新しいアイデアも出るし、教え合いも発生します。

逆に繋がりが希薄である場合は何かあっても相談しづらいし、指摘もしづらいです。結果的に個人ワークのような状況になってしまい、簡単な指摘すらも言えなくなってしまったりなど、関係性が希薄になってしまって成果が出にくくなります。こういうものが裏側の要因ではないかと思っています。

このようなチームの中の繋がり、チーム横断の繋がりをしっかり作っておくことが業績にも貢献すると思いますし、働くときの働きがいや働き易さにも大きく影響するのではないかと思います。この繋がりを作る取り組みとして、上司・部下だけではなくて、チームの中やチーム横断を1on1を仕組みに入れていくと良いのではないでしょうか。

 

04-1 スムーズな業務進行の2つのコツ「自分チャンネル・分報」

続きまして「スムーズな業務進行の2つのコツ」です。1点目が自分チャンネル・分報ですけれども、みなさんおそらくリモートで働いているときにはSlackやChatwork、Teams、Zoomといったチャットツールを使っているのではないかなと思います。

チャットツールの中ではプロジェクト別やチーム別のチャンネルを作ってその中で議論しているはずです。この中にそういったテーマやプロジェクトという単位ではなく、自分専用のチャンネルを作り、そこでどんどん発信していきましょうというのが自分チャンネルであり分報という取り組みです。

ポップインサイトでは入社した瞬間に「times_池田」といった専用チャンネルを作ってもらっています。

その中では

・今の業務の進捗状況
・業務を通じて感じたこと、面白かったこと
プライベートな内容もOK (メインにならない程度に)

という感じで、自分専用のチャンネルで「何でもつぶやいていいよ」という風にしていました。使っている感覚としてはTwitterに似ていますね。呟いたことで返信があることもあれば、ないこともあるのですが、そのような形で行っていました。

なぜこのような取り組みが重要なのかという話ですけれども、まず自分チャンネルを作るのは「発信をしやすくするため」です。

プロジェクトやテーマ別のチャンネルでも、もちろん人によってはバンバン発信できると思うのですが、例えば「プロジェクトにもテーマにも紐づかないことを思ったけれど、これはどこに投稿しようかな?」と迷った場合は多分そのチャンネルには投稿しないと思うのですよね。プロジェクトやテーマは別ですと色々な方が参加しているので、その方々に遠慮して「ちょっと自分がこんな投稿するのはどうかな」という気まずさがあって発信しづらくなってしまうという風に思っております。

自分チャンネルとして「自分専用でなんでもいいよ」とすることによって、そこであれば何を言ってもいいし、自分のチャンネルなので誰に遠慮する必要はないという構造が作れるかなと思っております。これを作ることで「発信をどんどんしやすくしていこう」というのが理由の1つです。

また発信がなぜ重要かというと状況を可視化したいからです。テレワークの大きな課題として「誰がいつ何をやっているか全然分からない」という話がありまして、確かに何かしら発信をしたり情報を出してくれないと何も見えないわけですね。ですので、こういった自分チャンネルを作って、なるべくリアルタイムに投稿していく必要があります。

分報というのは日報の対義語なんですけれども、1日1回の日報ではなく分単位という意味です。本当に文字通りに分単位で発信する人はあまりいないのですが、1時間や30分といった区切りのいい単位で「何を行っているか」「何を考えているか」について可視化していきましょうということです。可視化することによって何も状況が見えないよりは見えた方が、何をしているのか分かりますし、困ったときにはすぐに助けることも出来ます。

またSlackですと、例えばある人が「仕事の案件が思い通りに行かず軽くショックを受けている」とします。そんなときは面白い・可愛いスタンプなどを書き込みに添えてあげると、軽く盛り上がったりも出来ますし、その後のコミュニケーションを円滑になります。

このように状況が全然分からないよりは、状況が少しでも分かる方が安心感も高まりますし、お互いに信用しやすくなります。

 

04-1 スムーズな業務進行の2つのコツ「画面キャプチャ・スクリーン録画」

2点目です。テレワークになると「物事が伝えにくい」「物事を表現しづらい」「物事を口で伝えるのが難しくなる」ので、伝えるハードルが上がってしまうという課題があると思います。そこで推奨したいのが、画面キャプチャスクリーン録画を使っていきましょうという話です。

画面キャプチャというのはショートカットでWindowsでもMacでもできると思うのですが、画面の一部を切り抜いて画像にして送るものです。スクリーン録画というのはちょっと高度で、操作中のPCの画面とWebカメラでの映像・音声を同時に録画してデータにするというものです。ここで詳細は説明しませんが、画面キャプチャ、スクリーン録画のどちらも専用のツールなどを使わなくてもPCの標準機能で行えますし、スクリーン録画を行った瞬間に自動的にクラウドにアップロードされて共有できる「loom」という便利なクラウド画面録画サービスなどもあります。

私は自分の会社もそうですし、メンバーズもそうですし、別のプロジェクトなどにも色々と関わっておりまして、色々なところでChatworkもSlackもTeamsも全部入って見ているわけなのですが「画面キャプチャやスクリーン録画を使っている人は少ないな」という印象を持っています。

文章で物事を伝えるとき、伝えにくいと感じる場合がたくさんあるんですね。例えば他の人がPC上で作成した書類を確認する際に、変更して欲しい箇所について文章で説明することも出来るのですが、画面をキャプチャーして丸をつけて送る方が圧倒的に伝わりやすいですよね。

また送る側も楽です。画面を貼り付けて「こういう画面です」といった感じで送る方が楽ですし、スクリーン録画というのは映像を録画するので、画面キャプチャよりは少し手間がかかるわけですけれども、慣れると文章で説明するよりも圧倒的に楽ですね。

ポップインサイトではほとんどすべての業務について、できる人が録画しながら操作をして、それを当初はYouTubeにアップしていました。途中からloomに変えたのですが、それらをアーカイブしておき、いつでも見られるようにしております。

そのようなことを行うことにより、業務に不慣れなメンバーに対して映像と音声がついた操作マニュアルをすぐに渡すことが出来ますし、教える側としても手間をかけて資料を作るよりもその場で録画しながら話す方が圧倒的に早いし楽であるということで、この2つを適宜使えるような状況にしておくだけでも、伝える力が非常に上がると思います。

ぜひこの機会に覚えていただいて、日々使えるようにしていただければと思います。

 

05-1 リモート会議の生産性を上げる2つの工夫「事前アジェンダ」

続きまして「リモート会議の生産性を上げる2つの工夫」についてご紹介したいと思います。1点目は「会議は事前に作ったアジェンダをもとに、30分を目途にして実施しましょう」という話です。アジェンダというのは会議で何を話したいのか目的と論点をテキストでまとめたものを指しています。

会議はおそらく1時間前提でカレンダーなどを設定している方が多いと思うのですが「とりあえず30分にしましょう」というのが効率化する上での提案です。

理由は、そもそもオンライン会議というのは対面に比べて効率が悪いからです。なぜかと言いますと、声が同時に1人しか出せなかったりですとか、相手の顔もWebカメラでしか分からないですし、相手には書類を印刷した紙の代わりにデジタルデータを渡すことしか出来ません。

出来る手段が限られていたり、伝え方が限定されているために対面で集まる会議と比べるとどうしても効率が下がってしまいます。ですので「どんなことを伝えたいのか」ということを事前にテキストでまとめておくことが重要となります。それによって無駄な時間を防ぐことが出来て、効率を多少なりとも上げることが出来ます。

ありがちなのが、何となく会議や相談をしたいというケースです。けれども、よく考えれば「会議する必要はなかった」ということもよくあります。

先日もあったのですけれども「とあるツールの使い方をちょっと聞きたいので会議を設定してもいいですか?」と言われました。その質問に対して、私は先ほど紹介したスクリーン録画で簡単な解説動画を撮って送りました。問題はそれで解消しました。わざわざ時間を同期して会議する必要はなかったわけです。

こういうことはすごく多いのではないかと思っています。このようにむやみに会議を実施するよりも、チャットベースで解消出来るものはチャットで対応するようにすると業務効率がより上昇するのではないかと思います。

このように事前アジェンダを設定して時間も短くすると、会議の数も減りますし、会議を行った際には早く終えることができるので時間が捻出できます。1時間がかかっていたものが半分の30分で出来るわけです。例えば1on1の数を増やして雑談をするといった有意義な時間を捻出するため、会議時間の短縮はすごく重要という風に思っております。

Microsoftが「コロナ禍でテレワークがすごく広がったことで会議の状況はどうなったのか?」というレポートを出していたのですが、会議の頻度が増えて1回当たりの時間は減ったそうです。

以前のように隣のデスクの人とリアルに雑談したり、喫茶コーナーで会うようなことが難しくなったため、テレワーク環境でも気軽に誰かに相談をしたいという需要が生まれます。それを実現するためには、会議の時間を大きく減らし、代わりに会議の数を増やすという方法を取る必要があります。データによると実施前よりも満足度が非常に高くなったようです。

 

05-2 リモート会議の生産性を上げる2つの工夫「表情の活用」

次は私が比較的重要だと考えているポイントです。オンライン会議において表情を上手く活用しましょう。具体的にはカメラをオンにして、ちゃんとリアクションを表情で返すというシンプルな話です。

なぜ重要なのかという話なのですが、参加者の表情はオンライン会議であっても印象に残るわけです。クロスリバーという会社の方がオンライン営業のレポートを作成されていて「表情を明るくして、口角を上げて話す営業と、そうではない営業を比較してデータを取ったところ、口角を上げて話している人の方が契約率が20%高かった」という内容でした。

あなたが会議をしている際に「自分の話を笑顔で聞いてくれる人」「全然表情がない人」ではどちらの方が印象が良いでしょうか?そう聞かれれば、圧倒的に前者ですよね。このように表情はかなり重要な要素ですのでしっかり使ってみましょう。

先ほどオンライン会議は同時に1人としか話せないので情報が限定されて効率が悪いという話をしました。表情であれば、話さなくてもリアクションが返せるわけです。ですので、声を挟むのは時間的、状況的に難しかったとしても、聞いている感じ、分かった感じ、面白いと思っている感じを伝えることができます

そこに対して何か言われることはなかったとしても、記憶には残っていると思いますし、良い印象を作るきっかけになると思います。そこを意識するために、まずWebカメラをオフで話すことに慣れている人は、オンにしてみましょう。そしてちゃんと自分の顔が見られていると意識しながら話したり、聞いたりするようにしましょう。

注意点としてはよくある細かいミスなのですが、Webカメラで自分の顔を正面ではなく、真横・真上・真下から映している人がいます。その人にとっては画面をまっすぐ見ていると思うのですが、肝心のWebカメラが正面以外の場所に置いてあると、そっぽを向いて見えるので印象は良くありません。そういったことを意識する必要もあります。

さて、ザックリと30分ほどお話ししましたが、内容としてはほんの一部です。実際の本には26個のコツと仕組みとして色々なことが書いてありますので、少しでも参考になりそうだなと思ったら、ぜひ手に取っていただいてご活用いただければと思います。

 

06「テレワークが広がる価値」

最後にまとめとしてテレワークが広がる価値と題して、少しメッセージをお伝えできればと思います。

ポップインサイトはまず最初に申し上げた通り、色々な方が在籍しています。

・子供がいる
・介護をしている
・日本全国様々な地域に住んでいる

などです。

実は中に1人、白血病を患っていた方が在籍しております。その方は入院先の病院から自宅には戻れる状態ではあったため、テレワークであれば仕事が出来るのではないかということで昨年入社してくださいました。

それから1年後の今年の8月に「病気の症状が回復しました」ということで私に宛ててメッセージをくださいました。そのメッセージの内容が個人的にすごく心に残っているので一部ご紹介できればと思います。

白血病だと分かった時には
「確実に普通の生活なんてできなくなる」と思いました。

ほかの人と同じ仕事をするという
当たり前の生活が送れるようになったことが奇跡です。

おかげさまで大病を克服することが出来ました。
これからもよろしくお願いします。

このような内容のメッセージを送ってくれました。

テレワークで仕事が出来るというのは、例えば毎日オフィスに出社が可能な人にとっては複数ある働き方の選択肢の1つでしかないのですが、テレワークが可能でないと仕事をすることが難しかったり、仕事をする環境が得られない人もたくさんいるのではないかと思っております。

テレワークが当たり前に出来る。ただ出来るだけではなく、今回紹介したようなコミュニケーションがしっかり取れて、お互いにテレワークであっても信頼しながら仕事ができる状況が広がると、多様な人が活躍しやすい社会につながるのではないかと思っております。

今回のウェビナーや私の本をきっかけとして、テレワークの導入を考えている方がいらっしゃいましたら、まずは自分のチームの中でしっかり実装していきましょう。

そして取り組みを社内にどんどん広げていただいて、テレワーク環境でないと活躍しづらい方が数多く活躍できる状況を増やしていく。そのような流れが日本中に広がっていくと素敵だなという風に思っております。

今回のウェビナーの内容は以上です。ご静聴ありがとうございました。

 

Q&A

回答者:株式会社メンバーズ 執行役員 池田朋弘


 

Q1:「自分チャンネル」の発信についてですが、もともと発信が得意でなく、消極的な方もいると思います。そういう社員には会社としてどのようにアプローチしていくべきでしょうか?

池田

まず「自分チャンネルの発信」というところで、発信が上手くできない消極的な方もいるという風にいただいております。これは発信のタイミングやパターンを知らないことが消極的な考えに繋がっていると思っております。投稿するパターンをちゃんと伝えてあげればやりやすくなるのではないかなと思っております。

「自分で好きに投稿しろ」と言われても「何を投稿するんですか?」という感じになるかなと思いますので、業務の進捗や会議の状況を報告したりですとか、あるいはプライベートの書き込みもOKです。あとは自分で情報収集した内容などを共有するのも良いですね。このような感じで少しパターンを整理してあげると、発信しやすくなると思います。


 

Q2:「自分チャンネル」は誰がどのようなタイミングで閲覧するのでしょうか?

池田

どういう風に見ているのかも分からないですし、忙しい場合もありますし、見ていることが業務の妨げになることもありますので、閲覧に関しては個人に任せています。例えばチームメンバーの書き込みは見ているとしても、他のチームメンバーについては見たり見なかったりします。

見る」か「見ない」かは基本的に個人の判断としています。

私は立場上、全員分をちゃんと見ておりましたが「見なくても問題ない」という期待値にしておいて、自由な時間に見るような感じにするのが良いのではないかと思っております。

参考までに、私のチームメンバーに聞きますと「あまり見ていない」そうです。自分の業務に関わる人、もしくは興味深い情報発信を多くする人をメインに閲覧していました。

そもそも全部見る必要はありませんし、自分に関係のあるメンバーだけを考えれば5~10人くらいに収まるはずです。毎日ものすごい量を発信する人は少ないと思いますので、1日あたり10~20分程度の閲覧時間になるでしょう。相手の状況を知る、お互いを理解するという時間としては妥当な時間ではないのかなと考えております。

「Teamsでも作れますか?」という質問もありましたが、作れます。自分チャンネルというのはあくまで概念ですので、その人の名前のチャンネルを作ったら良いだけです。それで参加は任意にするという感じです。

メンバーズはGoogleハングアウトですので、Slackに比べると操作性は現状高くはないのですが、そこでも問題なく自分チャンネルを作って運用出来ているので、ツールに関係なくチャットツールを普段から使っていれば、問題なく導入が出来るかなと思っております。


 

Q3:自分と仕事仲間の忙しさの差が激しく、コミュニケーションを取るのに気が引けてしまいます。そんな時はどのように時間の捻出をしていますか?

池田

そもそもやはりコミュニケーションを取る時間というのは重要なものかなと思いますので、特にチームの中や横の繋がりでは1on1などでコミュニケーションの時間を定例としてスケジュールに組み込んでおくことが一番良いのではないかと思っております。

私の経験上ですがスケジュールに組み込まない場合ですと、色々な予定が入ってしまうためにしっかり1on1をやろうという気になりません。ですので、定例で入れていて基本的に行う前提にしています。そうすることによってどんなに忙しかったとしても時間を確保することができますし「チームとしてお互いにコミュニケーションするのは重要だよね」という期待値があれば運用できるのではないかなと考えながら日々実行しています。


 

Q4:対面で会議していたときの方が「熱のこもった議論」が出来ていた印象があります。オンラインですと発信者以外が「聞いているだけ」の状況になりがちで、1人しか話せない場面も多々あります。オンラインならではの盛り上げ方やツールを使った方法などがあれば教えてください。

池田

おっしゃる通りで、やはり議論は深まりにくいので工夫する必要があると思っております。最近オンラインイベントなどで様々な取り組みがされていて、これらを使うのがいいと思っております。

2つほど具体的に挙げますと、1つはZoomで使用できる機能ではあるのですが、ブレイクアウトルームです。

例えば10人で会議をしていても、議論するときは3人ずつに部屋を分けて議論してもらい、後からまた戻ってきてもらいます。そういう進行を会議の中で取り入れて行くと、本来10人いても同時に話せるのは1人だけなのですが、部屋を分ければ3人が同時に話すことができるので議論の量が増えて盛り上がりやすいわけです。このような手段が1つあるかなと思っております。

2点目はオンラインホワイトボードと呼ばれるツールです。Miroであったり、Googleスライドやスプレッドシートでも良いのですが、みんなが同時に見えるツールを会議とは別に開いておいて、そちらの方で意見や考えをリアルタイムに整備していくという手段も有用だと思います。

私のチームですと、四半期の成果を振り返りながら議論する際は、Miroというマインドマップのようなツールを使いながら、それぞれ考えたことを整理してリアルタイムに可視化して行き、発表時間を設けて順番に発表していきます。

このようなツールを使いながら運営を工夫すると、対面でなくとも自分の考えを伝えやすくなります。またデジタルに可視化することで、対面だと消極的で自分から意見を伝えられなかった人の考え方が見えやすくなるといったプラスαの効能もあります。


 

Q5:オンライン会議でカメラOFFの方に対して、どのようにONにして欲しいと伝えたら良いのか迷います。

池田

これはよくあることです。結論としては「Webカメラをオンにする」ルールを作ってしまうことが重要かなと思っております。

「カメラをオンにするのは円滑なコミュニケーションを取るためにすごく重要なので、Webカメラをオンにするルールを設定したい」という風に言えば理解してもらえると思います。

このルールがないと、例えば相手からすれば

「化粧をしていないから」
「部屋の中を映すのが恥ずかしい」

などといった個人の判断が許されてしまいます。そうではなく「チームとして状況が分からないし、コミュニケーションもはかどらないので、オンにしたい」ルール化することが重要だと思っています。個別のシーンというよりは、グランドルールとして明文化するのがポイントです。


 

Q6:入社時の取り組みで、全員と30分1on1を行っているとのことですが、従業員が100名を超えた際にはキーマンの設定など、どのような工夫をされていますか?

池田

仮に従業員が100名を超えた場合の話をしますと、全員と行うのは非現実的かなと思います。部署の中だけ、あるいはチームの人だけといったように行う範囲を設定したら良いのではないかと思っております。

ポップインサイトは私が社長の段階ではまだ40~50人くらいでしたので、これなら全員いけるなと思って実際に行っておりました。おそらくもう少し増えていたらチームで分割して減らしていたと思います。


 

Q7:チーム内の上司・部下以外の1on1はどのようなサイクル、テーマで行っていますか?

池田

私のチームメンバーのケースですと、週に1回ずつ1人と30分実施しております。

テーマは日によって色々ありますが、本当にプライベートな話をする時もあれば、「最近どうですか」といった仕事の悩みに対するアドバイスをし合ったり、「業務を効率化させるにはどうしたらいいか」といった議論を行ったりですとか、プライベートと仕事のどちらに偏ることもなく結構良いバランスで実施できているそうです。

オンライン会議は3人以上集まると自分の話をするのは難しくなると思っています。

誰かに話を折られてしまうと思いますし、話の混線も気になるから自由に話ができなくなります。でも1対1ならオンラインであってもしっかり話せるので、このような場をなるべく多く用意することが重要と思っております。

ただ、場を多く用意しようと思うと相応の時間が必要になりますので、まずは取り組みに関する初手として無駄な会議などを出来るだけ圧縮していくことが必要です。

 

著書発売のお知らせ

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本書の出版に至った経緯については、こちらの記事をご参照ください。
note:テレワーク×チームコミュニケーションの書籍を出版した理由
LISKUL:テレワーク環境で成果を出すチームコミュニケーションとは

 


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