「障がい者×在宅勤務」安定稼働への取り組みについて

障害者雇用促進法によって定められた障がい者法定雇用率2.3%への引き上げや新型コロナウイルス感染拡大など、障がい者雇用において様々な変化や課題が発生しています。
企業では障がい者雇用の在宅勤務化が進む中、「体調不良」、「コンディションの把握」、「稼働状況の把握」等の課題があり在宅勤務に踏み出せないといったご相談を受ける機会が増えてまいりました。
本セミナーでは、株式会社湘南ゼミナールオーシャン様の事例を紹介するとともに、「障がい者×在宅勤務」の安定稼働のポイントについてご説明いたします。


セミナー動画

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登壇者紹介

前山 光憲

前山 光憲 氏
株式会社湘南ゼミナールオーシャン 宮崎台事業所長

2013年障がい者雇用の現場責任者として湘南ゼミナールオーシャンに入社。以来、精神・発達障がい者がイキイキ働く現場づくりに取り組む。
2010年まで取締役企画室長としてサービス設計、事業運営に携わりアパートの1室の塾から生徒数3.7万人、30年連続成長への基盤を築くも、介護等のため辞任。介護関係者の真摯な姿勢に触れていく中、本当にやりたいことは管理ではなく現場で汗をかいている人たちの伴走であると気づき、現職へ。
ポジティブ心理学プラクティショナー、レジリエンストレーナー、マインドフルネストレーナー、心理的安全性ファシリテーター、国家資格キャリアコンサルタント。


 

 

はじめに

私の方から今日お話しさせていただくのが「障がい者×在宅勤務」安定稼働への取り組みについてです。

「安定稼働への取り組み」ではなく「安定稼働”へ”の取り組み」となっているのは、弊社では今年の4月から在宅勤務を一部取り入れているのですが、このウェビナーが開催される(2020年8月中旬)までの約5か月間の実施期間について「安定稼働と言い切ってしまっていいのかな?」という私の中の疑問もありまして、このような題名にさせていただきました。今日はこの期間に私どもが行った取り組みについてご紹介させていただきます。

その取り組みについてお伝えすることで、みなさまの何かしらのヒントになればと思っております。よろしくお願いいたします。

すべては障がい者の職場定着のために~特例子会社「湘南ゼミナールオーシャン」設立~

最初に私どもの会社に関して簡単に説明させていただきます。私どもは特例子会社なのですが、親会社が湘南ゼミナールという学習塾でございます。

おかげさまで毎年成長を続けているのですが、現在のビジネスモデルでは事業拡大をするためには従業員数を増やしていかなければなりません。法定雇用率というものがありますので従業員を増員する場合はその数に応じて、障がい者についても雇用を進めていく必要がありました。ですがとても速いペースで拡大していく事業ですので、せっかく障がい者の方に就労していただいても長期間定着することが難しい状況でした。

そこで2013年(書類上は2012年)に会社を設立しまして、2013年の3月に特例子会社として認めていただくことになりました。特例という形でしたら定着しやすい形が取れるのではないかという考えを元に今まで行ってまいりました。

業務の内容としましてはいわゆる事務・軽作業です。親会社のバックヤードのお手伝いですね。それを取り組んできました。

約7年間行っていく中で徐々に働いている人たちのスキルも上がってきました。今では地方自治体の方からご発注いただいて動画制作をしたり、ヒアリングなど企画段階から行うマニュアル制作も行っております。従業員は24名おりまして、事業所としては本社は横浜にあります。宮崎台という渋谷から20分くらいのところにあるのですが、こちらの事業所はメインでこれらの業務を行っております。

「湘南ゼミナールオーシャン」の2つの特徴

特徴の1つ目としては働いている従業員はみんな精神障がい者の手帳を持っております。精神発達の方に特化しているというのが私ども宮崎台の事業所の特徴です。

特徴の2つ目は定着率です。本日お集まりの方々は障がいをお持ちの方と一緒にお仕事に取り組まれている方がほとんどだと思いますのでご存知かと思いますが、一般的には障がい者を採用しても1年以内で50%が辞めてしまうという状況です。ですが、私どもの場合ですと比較的定着率が高いです。これが2つめの特徴です。

以前は就労移行利用者さんを中心に他の会社さんの見学も含めて、実習見学会を盛んに行っておりましたが、今は申し訳ございませんが一時中断という形をとっております。

定着の方のお話もしたいのですが、定着率を比較するためにこちらをご覧ください。

この赤のデータが就労移行の50の事業所に通っている方です。就労移行の場合ですと、やはり定着率については1年後は高いです。ただ3年経過するとグラフがお辞儀してしまいます。

例えば、
「職場環境が変わって責任が重くなった」
「すごく良くしてくれた人がいなくなってしまった」

などという理由も十分にあるのではないかなと思いますが、私どもの方ですと大きくグラフがお辞儀をしないというのが大きな特徴です。

長く続けてくださっているので、設立当初は「締め切りに余裕があるもの」「判断が必要ないもの」を中心に行っていたのですが、現在では「大抵のものは受けられます」と親会社にも話をしておりまして「大体何でもやれるかな」と思っております。

私どもはとても零細ですので、入社当初から優秀な人材をたくさん集めるということは難しいわけなんですね。初心者レベルのパソコンスキルだった人が多かったのですが、やはり7年も経つとVBAでツールを作成してくれたり、HTMLやCSSなどでホームページ更新を行ったりできるようになりました。

障がい者就労で重視すべき3つの項目とは?

今日は在宅の話が中心なのですが、その前に少しだけ私どもの会社について知っていただきたいと思っております。

やはりその在宅で働くかどうかは別として、まず在宅かどうかの前に「どんな文化・どんな環境で働いているのか」ということがすごく重要だと私は思うんですね。

私たちがすごく力を入れていることは主に3つあります。

1つ目が「心理的安全性を高くしていく」
2つ目は「強みを生かす」
3つ目は「セルフケアに取り組む」

心理的安全性に関しては、2016年にGoogleさんが発表してから注目を浴びているのでご存知の方も多いのかなと思いますが、ザックリというと「何を言ってもOK」という環境を作ることですね。

「あの人は偉いから言ってはいけない」
「言ったらリスクを被ることになる」

そういう考えはなくして、何でもお互いに言えるようになるということです。

日本の場合の心理的安全性ですと、だいたい4つくらいの基準がありまして、

1.話しやすさ
2.助け合い
3.挑戦
4.新奇歓迎

こういったような要因があると非常に心理的安全性が高いと言われています。この心理的安全性ということにすごくこだわっています。

ですので、うちの従業員たちは私に対しても「それはこうした方がいいではないか」ということを比較的言ってくださいます。誰に対しても言えるというところを目指しています。

それから2つ目は強みを活かすということで、強みを発揮するという言い方もしていますが、こちらは人材に関してなのですが、どうしても問題点を見つけると言うのが仕事では多いですよね。問題点を発見して、それに対して課題設定し、課題をクリアする。

ところが人に対してもやはりそれをやりがちなのですけど、私はそれは違うのではないかと思います。特に彼らに障がいがあることを考えると、障がいを問題として扱えるわけがありません。扱ってもどうしようもありません。そこを課題に設定するわけにもいかないと思うんですね。

彼らはそれぞれ障がいを持っていますが、強みもあります言い換えると障がいの有無に関わらず、誰でも苦手あるいは弱いところはありますだから「強みの方に特化した方が絶対いい」じゃないですか。「弱みを一生懸命直そうとしても平均点にしかならない」と思うんですよね。

ですから個々の強みを伸ばすということを徹底的に考え、チームとして見た場合にある程度欠けのない姿になればいいと思っております。

今回参考にしたギャラップ社の調査によりますと、強みを生かした方がエンゲージメント・売上高・パフォーマンス・利益がそれぞれ上昇するデータもあるわけですね。心理的安全性についても同じくそのようなデータがあります。

セルフケアの切り札「K-STEP」導入のススメ

3つ目がセルフケアにすごく力を入れておりまして、川崎市が作っているK-STEPというツールがあるのですけれども、こちらを使ってセルフケアに対する考え方を教育しております。毎朝1分程度報告していただくだけなのですが、その報告に至るまでにまずご本人が自分自身の状態を把握できるかどうかが重要です。

今日は状態があまり良くないなという場合でも「体調が悪い」で終わっちゃう人が多いんですね。単に「体調が悪い」ではなくて、どこがどのように悪いのか。頭がズキズキしているのか、気持ちが悪いのか、色々あります。それに応じた維持回復行動を取るわけです。調子がいいときもすごく大切でして、その調子の良い状態を維持できるような工夫を行っていくということが重要です。すると自己開示配慮要求が自分からだんだん出来るようになってきて、自分なりに手応えを感じてくるわけです。

実はここがすごく重要で、家でセルフケアに対する意識がついて睡眠・食事・運動といった自分の体調改善に関わることに本気で取り組むようになってくれるのですね。それが回りだすと勤怠が非常に安定し、自信にもつながっていくんですね。

今日はセルフケアがメインではございませんので、またの機会がございましたらお話しさせていただきたいと思います。

「幸福度」が高い人がうまくいく

最近ウェルビーング経営というのがすごく注目を集め始めておりまして、ウェルビーングというのは長期的な幸せという概念です。短期的な幸せはハッピーと言われる概念ですね。気分の問題です。

自分の人生を今まで振り返ってみて「色々あったけど良かった、幸せだな」と思えるのがウェルビーイングです。ウェルビーイングが高くなると、ここがはすごくポイントなのですけど、今まではうまくいくから幸せ度が上がると思われていたのが、どうも逆であるということが色々なデータから証明されています。

「幸福度が高い人がうまくいく」ということなのですね。実際にその比較したデータがあるのですが、生産性で31%増、営業成績で37%増、特にクリエイティビティにおいては3倍になっています。欠勤率が下がりますし、離職率も低下します。

そういったことで、私どもでは働いている人ひとりひとりが生き生きと働いていただける、幸せに働ける環境づくりに力を入れております。それは今現在がすごくVUCAの時代、つまりは先が読めない時代だからこそチームの作り方も変わってくるのではないかなと考えて、このような考え方で取り組んでまいりました。

コロナ前から模索していた「在宅勤務」の取り組み

さて、ここからが在宅テーマの取り組みについてなのですが、私どもの在宅勤務の取り組みなのですけれども、昨今のコロナ問題とは関係なく、時代に先んじて2018年にリモートワークの検討を開始しておりました。

先ほど申し上げた通り
「働き方をできるだけ自由にしたらいいのではないか」
「地方在住の障がい者の方も含めて、弊社で採用することが可能になるのではないか」

ということです。実は検討していた主要メンバーの一人について実は育児と同時に介護が始まってしまいまして、見切り発車的に「モデルケースとして在宅勤務でやらせて欲しい」と会社の方と交渉をして実験運用を開始しました。

ただ、財政上あまり費用をかけられないので、Zoom常時接続という形で行っております。この一番右下の写真が当時の写真です。このような形で元々取り組んでおりました。

今回のコロナの対応については、これはみなさんそうだと思うんですけれども「どうしよう?」という感じですよね。ただ私自身は楽天的な性格なもので「何とかなる」と再定義を自分の中で行いました。これはリモートワーク導入のための千載一遇のチャンスだと、そういう風に気持ちを切り替えました。

想定した問題としては、

・体調管理がうまくいくのか
・オンオフの切り替えがうまくいくのか
・今まで力を入れてきた、人と人とのつながりがどうなってしまうのか
・労働意欲は大丈夫なのか
・そもそも在宅向けの仕事がどれだけあるのか

また人材ごとのスキルのばらつきについては先ほどお話ししましたが「個々の強みを発揮してもらえばいい」ということで行っていましたので、PCがそれほど得意ではない人も何人もいるんですね。ですのでそういったスキルの問題があります。それから環境の問題、設備の問題、制度の問題などがあるなと思いました。

実際にどうだったかといえば、Zoomで始めてスキルの問題はお互いに助け合うことでカバーする、分かる人がフォローするという形で、すぐに2~3週で差がほとんど詰まったかなという感じですね。

環境面に関してはみなさんご自宅にWi-fiの環境がありましたので、みなさんご自身で何とか設定することができました。このような形でスタートを切りました。

湘南ゼミナールオーシャンが実践! 新たな「障がい者の在宅勤務」のカタチとは?

では実際どう行っているのかというと、つながりと体調管理ということを特に力を入れて行っております。私どもが行っているのは少し変わったやり方です。

始業時間と終了時間は今まで通りという形で、Zoomのギャラリービューで常時接続するのですね。何か行うときはブレイクアウトルームで細かく分かれて行っていくと。

毎朝報告する体調の報告、K-STEP報告、それからチェックインというのがあるのですが、ミーティング諸々ありますが、要するに出社時と同じ流れで、逆に私ども全員在宅の日もありましたけれども、交代で出社という形を取りましたので、出社してもPCで常時接続が可能である環境にしました。

データの入力や入力のチェックが業務のほとんどでしたので、PCを使用しない在宅業務も用意しました。また、今まで行ってきた作業を細かく分解して、その中から一部分を切り出して家に持ち帰る形をとって在宅の業務を増やしました。在宅業務の日数はもう個別に対応して、在宅は基本的には週に0日~4日の範囲で行っています。

体調管理の方は留意点を毎朝確認をして、K-STEP報告時に歩数の確認をしました。歩数に関しては毎朝みなさん1万歩ぐらい歩いています。数多く項目を作るとかえって浸透しませんので、私どもで毎朝行っている確認事項は3つです。

1.通勤時間はウォーキング
2.30分に1回のストレッチ(目を休める)
3.PCの高さ調整
ということを徹底的にお伝えしました。

つながり面の取り組みとしてはまずチャット(ありがとうチャット)をすごく活用しました。次にダイアローグといいまして、会話をする時間を用意しました。次に常時ギャラリービューですね。

この下にあるグラフはうちで取ったアンケートです。

結果としてはつながりにおいて、ありがとうチャットやダイアローグが非常に効果があったという結果が出てきました。

ありがとうチャットというのは、元々は出社時に従業員同士で感謝の言葉と理由を書いた「ありがとうカード」を渡すということを行っていたんですね。それをZoomのグループチャットに置き換えまして、チャットで感謝のメッセージを伝え合うようになりました。

以前は一日の終わりにメッセージを渡す形だったのですがこの方式を採用したところ、何かあるとすぐ書き込めて、すぐに反応が帰って来て、ということで非常にいい形で回っております。

またダイアローグというのが対話を行うものなんですけれども、だいたい15時から15~20分程度行います。ブレイクアウトルームに分けてその日のテーマについて話をします。

例えばこれは7月のものですが、レジリエンスといいまして回復力を付けるための色々なアクションが書いてあるのですね。7月はそのことについて話し合いました。実際つながりは深まったのかアンケートを取ったところ、残念ながら悪くなった気がするという人もいました。ただ、大半は良くなっているという回答が来ています。

問題点としては、以前と比較して体調が悪くなった人が若干名ですがおります。ですので、そこで先ほど申し上げたような形で在宅日数を調整して整えるようにしました。加えて新入社員の検証がしづらかった点があります。ただ会社を休んではいないので、結果としては今のところは問題ないのかなと思います。

最大の課題としては在宅に向けた業務が不足しがちな点です。いつでもどこでも仕事ができるというわけではありません。うちの場合どうしても軽作業・手作業が多い部分がありますので、すべての人が在宅という日は限られます。調整しながら交代で出社しています。

まとめ

私たちの方で考えている在宅ワークを少しまとめますと、1つ目は職場をオンラインで再現したというのが大きな特徴かなと思います。

2つ目は一緒に働いていることを実感できるかどうか。先ほどあげました事前に考えた問題点というのは、実は厚生労働省の資料でも上がっている問題点なんですね。特にコミュニケーションの問題というのがやはり問題になりやすいので、一緒に働いていることを実感できるということが大事ですね。

それから雑談も再現するということで、実際事務所で働いているとちょっとした雑談の中からヒントを得て仕事につながる機会もあるのではないかなと思うんですよね。

人間の頭で考えている無駄が必ずしも無駄ではないということもあると思いますので、雑談を逆に生かすために雑談チャットを作って活用してもらっています。またダイアローグを行うことで、お互いダイレクトに話すという機会も作っています。

それから「情報はできるだけオープンにする」ということで、常時接続でギャラリービューをしているとみんなが仕事している姿が見えて安心なのですが、仕事をクラウド上で行って仕事する姿が見えない場合は「疑心暗鬼になったりしないかな」というのが少し心配だったんです。ですので、私を含めて「誰がいつ何を行ってるか」ということが基本的にはいつでも分かるという形をとっています。

それから在宅勤務を特別なことだと考えるよりは、当たり前のことだと徹底することがやはり重要なのかなと思います。ハードルになりがちな制度面や技術面をクリアする方法はいくらでもあると思うんですね。

ただ、それまでオフィスで行っていたやり方を大きく変える場合は途端に難しくなりますので「従来のやり方をいかに維持するか」という視点から当たり前のことを徹底すればいいのかなという風に考えています。

うちが比較的スムーズに在宅勤務へ移行できたのは、元々テストで運用していた段階があったことが大きいと思います。従業員の中で好奇心が強い人が多くて「これは面白い」ということで在宅勤務の意義の話もしたんですね。

コロナウイルスの蔓延に折り合いをつける意味で妥協的に導入したわけではないのだから、最終的に目指すべきは、いつでもどこでも働けるような多様性のある働き方ではないか。通勤に1時間も2時間も満員電車で通うってバカらしくないか?

ということを伝えて、みんなで取り組んでいきました。最初はとまどいやためらいもあったでしょうが、段々と1人づつが興味や関心を非常にもっていただいて、最初はできなかったところが徐々にできるようになっていったわけです。周りの助け合いもありました。

さて、マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授という人が提唱した組織の成功循環モデルというものがあります。

結果を上げよう上げようとすると、関係がギクシャクしてきて、ギクシャクした中だと思考がなかなか進まないし、思考が進まないから行動が悪くなるという悪いサイクルになる。結果の質から入ると悪いサイクルになるわけです。

それに対して「関係の質を上げるところに着目していけば全て良い方向に回る」というのがキムさんが言っている内容です。

私どもでやっていることは「在宅だから」というよりは、オンラインでも関係の質を高めるということをやってきたということが私どもの取り組みでございます。

 

Q&A

質問者1:株式会社メンバーズギフテッド 取締役 石後岡 学 氏
質問者2:株式会社メンバーズ LG室 左高 航洋 氏
回答者:湘南ゼミナールオーシャン 宮崎台事業所長 前山 光憲 氏


 

Q1:ダイアローグの仕組みをもう少し教えてください。ダイアローグのテーマの選び方を知りたいです。

前山

ダイアローグの仕組みは先ほどご紹介したカレンダーのようなものがございましたよね。あそこにテーマが書かれております。

たとえば7月15日ですと「もうダメだと感じるときは、散歩に出て頭をスッキリさせましょう」というような内容が書かれてあります。

レジリエンスに対する対処の仕方なんですね。それを話してもらうという形で、私の方で少し話すテーマを変えます。「もうダメだと思ったとき、みなさんはどんな対処をするかシェアしましょう」いう形でブレイクアウトルームを作ります。だいたい1ルーム2~3名ですね。1人の話す時間を2分で設定しているので6分ぐらいで話してきてもらって、その後に全体で集まって全体シェアを時間によって2組くらいですけど行います。

その場合に「調子が悪いときにどうしたらいいか」ということですが、私たちはセルフケアに力を入れておりますので、結構みんな知識を持っていまして

・マインドフルネスが効く
・運動がいい
・音楽を聴く

など色々と意見が上がりました。

あとはジャーナリングなどと最近よく言われていますが「書く作業」ですね。これによってもかなり軽減されます。そういったことをシェアする形で行っています。


 

Q2:K-STEPの報告は歩数以外に何かありますか?

前山

歩数を報告するのは、実はK-STEPの一般的な内容ではないんです。K-STEPそのものは良好・注意・悪化のときのサインを御本人が決めて、今日はどの項目に丸がついているか報告してもらいます。

私どもで強制してるわけではないんですが「運動は大切だよね」いう話をしておりまして、神奈川県が主催している会社対抗の歩数ランキング(健常者、障がい者の部門分けのないもの)というものがありまして、全員参加ではありませんがそこにみんなでチャレンジしました。みんな運動にも取り組んでくれている人が多いんですね。ですので歩数に関しては任意です。あくまでK-STEPで報告するのは自分の朝の状態です。


 

Q3:在宅勤務中の仕事ですと、パソコン業務が中心となると思いますが、出社をしないとできない業務とのバランスはどのようにされましたか?

前山

日によっては全員在宅のような形を取ることもありますが、7割くらいの従業員を在宅勤務のような状況にして残りはシフトで出社するという方式が一番多いですね。

やはり在宅の方が感染予防の点でもいいかなと思いますし、出社の際もダイレクトに話す機会はすごく少なめにしてあります。

通年で同じ仕事があるわけではなく、時期によって業務内容が異なってきます。基本的にはすべて事務・軽作業ですが、たまたま4~6月まで入試が終わってその結果を入力したりする作業が非常に大量にありましたので、在宅がすごくやりやすかったわけです。


 

Q4:常時接続をする点が工夫されていると思いました。その中でどのような会話が生まれていましたか?

前山

常時接続をしても会話に変化がある訳ではないんですね。なぜ常時接続をしているかというと職場を再現したかったからなんです。職場に実際にいるときにみんなの顔が見えているわけだから、それと同じ状況にしたかったのが最大の理由です。

その代わりに面白かったのは、みんなこんなにチャットが好きだったのかと思うくらいチャットがものすごいんですね。あっという間に私のところに未読のチャットが溜まってしまいまして、チャットを読むのが仕事になってしまうレベルで「これは何とかしないといけない」と思ってしまいました。でも良いこともありまして、質問はものすごくやりやすくなりましたね。業務に関する質問が一番多いですね。

石後岡

働き方は在宅でも勤務しているときでもそれほど差がないような働き方が実現できているということで、まさに理想型ですね。


 

Q5:スタッフの集中力や疲労、休憩時間やプライバシーなどテレワーク勤務中、音声と映像を常時ONにしていることで起こる問題はありますか?

前山

常時ONはマストだとは考えていません。「イヤだったらいつでも外していいよ」という形を取っています。ただ、ほとんどをオフにする人はいないですね。むしろ、やはりつながっている安心感や顔の見える安心感を求めている人が多いような気はします。

Webカメラが調子悪くて見えない人ならおりますが、それ以外はほとんど顔が見えていますね。彼らにそこは負担ですか?というアンケートも以前取りましたけど、むしろやはり顔が見えてる方が落ち着くという声が多かったですね。

左高

ありがとうございます。例えば休憩時間中にオンラインでつないで一緒にお昼ご飯を食べたりすることもあるのですか?

前山

そこは自由です。休憩時間は離れてOKです。

左高

時と場合に応じて「スタッフ間で自由にしていいよ」というようなスタンスなのですね。

前山

そうですね。辛いんだったら意味なくなっちゃいますから。


 

Q6:ダイアローグは毎日行っていらっしゃるのですか?

前山

午後1時から仕事を始めて、2時間経過した午後3時に気分転換を兼ねて行っています。これは実は在宅勤務を始めてからを行った仕組みなんですね。

これを毎日行っています。なぜ毎日かと申しますと、在宅勤務でも仕事内容をだいたい2時間ほどでチェンジできるようにしているんですね。1日同じ仕事を行ったほうが集中力が高まる人には同じ仕事を行ってもらっていますが、同じ仕事が長時間続くと少し疲れたり、集中力が落ちてパフォーマンスが低下する方もいらっしゃいます。

過去にダイアローグは朝礼の一部として行っていたことがあったのですが、毎日は行っていませんでした。現在は毎日15時になると必ず行っています。


 

Q7:一般的な話で「在宅勤務はこれから増えることはあっても減ることはない」という認識があると思います。その際に今までになかったような採用のポイントがあるのでしたら、お聞かせいただけると幸いです。

前山

基本的には私どもの風土や文化に賛同していただけるかどうかです。今までもこれをすごく重視しておりました。本編でも申し上げました通り、

私どもの
「強みを発揮すればいい」
「課題は無理に克服しなくていい」
というスタンスが嫌な方がいらっしゃるのですよね。

「自分の弱いところを見つける」
「弱いところを克服する」

そういったことがお好きな方もいらっしゃいますので、その辺りの考え方が一致するかどうかですね。要するに一緒にやって行けるかどうかです。

そこが合えば、逆にいうとまだよくわからない部分がたくさんあるのですけれども「在宅であろうが、オフィスであろうが同じではないのかな」と私は考えています。

もともとリモート勤務を考えたのは、やはり出社ができない方がいらっしゃると思いますし、地方の方ですと働きたいニーズはあるけれども働く機会がない。そういった方たちに対して「私たちで何かできることはないのかな」という考えを持ったことが元々のきっかけだったんですね。なので最後はやはり考え方の部分ではないでしょうか。

先ほど石後岡さんが言われていた職業観などといったものと同じですよね。価値を共有できるかどうか。そこに尽きるような気はします。

石後岡

先ほどのお話の中で
「職場を再現する」
「どこで働いてても働き方は変わらない」
というようなお話がありました。

風土や文化の部分を採用時に重視する今までの方針の延長線ということになると思いますが、直接のコミュニケーションが難しくなる今後はそのことがより大事になってくるのかなと思いました。ありがとうございました。

よく私も
「どういう方を採用したらいいですか?」
「どういう工夫をしたらいいですか?」という質問をされますね。

何よりも「良い人を採用したい」と考えているのですが、これは仕事で生かせるスキルの有無も当然ありますが、やはり会社の風土や文化に合う方を見つけて採用していきたいということですね。

前山

確かにスキルは高いにこしたことはないですね。逆にリモートであれば、人材のピラミッドがあるとすると、非常に上位の方を採りやすいということはあるかもしれないですね。そこはまだ私には分からない領域です。

石後岡

今回はコロナ渦ということもあり、私も札幌から九州まで全国の就労移行様や支援機関様にお電話させていただいたんですけれども「地方に優秀な人材がいる」ということは実感として持っています。そのことに2018年から気づかれていた前山様は素晴らしい着眼点をお持ちだなと思っています。本日はありがとうございました。


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