昨今のコロナ禍により、顧客とのマーケティングコミュニケーションにおける、デジタル接点の重要性がさらに高まっています。
そのような中で、ECサイトでの売上アップやWebサイトでのパフォーマンス改善をしていく上で、データをどのように分析し、活用して改善に繋げていくのか、そのヒントをお伝えできればと思います。

セミナー動画&登壇者

以下より当日のウェビナーを動画でご覧いただけます。

堀野 正樹 氏

成功事例から見る
売上3.5倍を実現したECサイト分析と改善施策

堀野 正樹 氏
Webマーケター/ECコンサルタント/ウォーターサーバー事業コンサルタント

複数の事業会社で通算20年インハウスマーケターとして従事。2012年から7年間、大手ウォーターサーバーメーカーのマーケティング責任者としてブランディングからEC事業まで統括。
自社ECサイトを業界No.1にまで成長させる。2019年にWebコンサルタントとして独立し、中小企業のEC売上アップ支援や、外部マーケティング責任者として活動中。
みらいマーケティング本舗」/代表 兵庫県加古川市在住。


1.成功事例から見る売上3.5倍を実現したECサイト分析と改善施策
2.無料分析ツールだけでECサイトを急成長させる方法<初級編>


 

はじめに

堀野正樹と申します。
今回は「成功事例から見る売上3.5倍を実現したECサイト分析と改善施策」
というテーマでお話しさせていただきます。 

その前に簡単に自己紹介をさせていただきます。

私は昨年に独立いたしまして、今中小企業様を対象としたECコンサルティングのサービスを中心に提供させていただいております。それまでは約20年ほど複数の事業会社でインハウスマーケターとして経験を積んでおりまして、前職では今回の事例でも少し取り上げさせていただきます、ウォーターサーバーのメーカーでマーケティングの責任者として働いておりました。この会社ではECのほぼ立ち上げから約7年間70億円規模のビジネスまで成長させることができました

最初から順風満帆に進んだわけではありません。売り上げを伸ばすまでの間に様々なチャレンジを行い、数多くの失敗を積み重ねてきました。今回その中でも美味しいところだけをチョイスしてお話しさせていただきますので、それなりに価値のある情報になっているのではないかと思っております。

余談なんですけれども趣味でロードバイクとフットサルを楽しんでおりますので、もしご興味ある方はお声がけください。

今回のウェビナーについて

今日お話しするのは2点ございます。

①ECビジネスにおける分析の考え方
②ケーススタディーから見る改善事例

今回のお話というのは、業界特有のノウハウをお伝えするのではなく、色々なケースでご活用いただけるようにしておりますので、成功への道筋をイメージしながらご覧いただければ幸いです。

「BtoC向け通販でLTV(ライフタイムバリュー)を伸ばしたい」
「自社のWebサービスをグロースしたい」

とお考えの事業責任者の方に特におすすめいたします。

ECビジネスにおける分析の考え方

早速、ECビジネスにおける分析の考え方をお話しさせていただきます。

まずECを取り巻く環境についてのおさらいなんですが、もうみなさま既にご存知の通りEC市場というのは今かなり右肩上がりで成長が見込まれています。野村総研さんのデータで見ると、2025年には28兆円規模ですね。「今から5年でまだ4割伸びしろがある」と見込まれています。

しかも最近のコロナウイルスの影響店舗ビジネスからECへのシフトも加速しておりますので、この28兆円というものも「前倒しで達成できるのではないか」と考えております。

ちなみに日本の「市場規模に対するEC化率」というのは調べていくと様々な産業がある中で7%くらいと言われております。アメリカで10%強、中国でも15%くらいまで成長していますので、そういった意味ではまだまだ伸びしろがある業界であると言えます。

「売上アップ」を達成するための大まかな流れ

ここからはどのように分析を進めて最終的に売上アップにつなげていくのか、大まかな流れをお伝えします。まず①現状把握ですね。やはり「今、自分の事業はどうなっているのか」という現状を正しく理解して問題点を発見するということを最初に行います。続いて②目標設定を行って理想の状態を具体的にします

この現状と目標がしっかりと固まれば「じゃあ、今不足しているギャップってどれくらいなの?」ということがわかりますので、③ギャップを埋めるための方法を考え実践します。最後にちゃんと④効果検証を行うというPDCAを回すことが基本になってくると思います。

ここで重要なのが、この現状把握がきちんとできていないと、目標達成するのに2割くらいのアップでいいのか、それとも3倍にしないといけないのかということで③のギャップを埋める方法と全く違ってきますので、やはりこの初期分析が非常に重要になってきます。

もっと具体的に掘り下げていきますと、ECの目標というのは基本的には売上なのかなと思います。それに紐づくECの戦略があって、さらに戦術に落とし込んでそれぞれに対する施策というものがあると思います。

ただ、私もそうだったのですが、やることが多すぎるんですよね。

これを一つ一つ全部やっていこうというのは到底無理でして、ここで大事なのは「売り上げの目標を達成するために、どのルートを選べば一番インパクトがあって効率的なのか」ということを考えることが大事だと言えます。

そのためにまず初めにやるべきことは、現状把握のための分析ですね。

自社のサイトはどのような状況なのかということをしっかりと把握すれば、目標に対する道筋が自ずと絞られてきます。つまり、ここを発見して何をやって何をしてるかということがいわゆる戦略ということになるのかなと考えております。

私自身もひたすら「効率的に売上アップするためにどうしたらいいのか」ということを考えておりまして「あれもこれも手をつけて忙しいけど儲からないということはなるべく避けたい」と意識していました。

売れないECにある3つの特徴ということで長年ECに携わらせていただいておりますと、この売上が伸びないECサイトに一定の共通点があるということに気づきましたのでご紹介します。

①「Webサイトがわかりにくい」
②「リピートにつながらない」
③「戦略がない」

①のWebサイトがわかりにくいというのは、ケースとしては企業の都合で作られていて、実はお客様が知りたい内容になっていないというケースが結構多かったです。

②のリピートですね。これは理想的なのは、売り上げの7割がリピーターで新規が3割ぐらいがいいんじゃないかなと考えています。なぜかというと新規の獲得コストは非常に高いので、そこだけに依存してしまうとなかなか費用対効果が合わない投資するコストも生み出せないということで頭打ちになりやすいです。反対にリピートが9割とかになってしまうと、リピーターというのはいずれは去ってしまうものなので、事業の成長性が見込めないという意味でいうと、これは業種業態にもよりますが、バランスが良いのはリピーター7割新規3割が理想かなと考えています。

最後に③の戦略がないという話です。よくあるのが「他社が上手く行ってるから、うちもそれをやりたい」というケースなんですね。ただ、これは同じ商品、同じブランド認知、同じビジネス環境であれば再現性はあるんでしょうけども実際はなかなかそういう訳ではないので、博打に近い形になってしまうのであまりオススメしないですね。

こういった3つの特徴があると思います。では「これを解消するためにどうしていけばいいのか」ということについて、簡単な事例を元にご説明させていただきます。

事例①:Webサイトがわかりにくい

1つ目のWebサイトがわかりにくいという話ですが、とある企業さんのECサイトでは単に商品画像を規則的に並べているだけで、いわゆる倉庫のような感じになっていたわけですね。ですので、欲しい商品があったらお客様が自分で商品をくまなく探すことになるため、結果として直帰率が非常に高くなりました

企業の考えとしては「お客様の色々なニーズに全部応えるため、とにかく商品を増やすんだ」という風に気合を入れていたわけですが、結果「お客様にとって選択肢が多すぎてストレスを感じることに繋がり、商品を買ってもらえない」ということが調査でも分かっていますので、これはあまりよくない状態でした。

ただ分析した結果「どの商品がよく売れているのか」ということはわかっていましたので、改善後は分かりやすく「店のオススメはこれですよ」という3つに絞って、それ以外の商品もお客様の選ぶカテゴリーごとに商品を分けて選びやすくしました。その結果、直帰率が60%以上あったものが40%まで改善しました。一般的にお客様というのは3種類から5種類くらいまでの選択肢が一番満足度が高いそうです。ただ、選択肢がそれ以上あると逆にどれが良いのか迷ってしまうようです。

付け加えますと、先ほどの3種類の選択肢の中で松竹梅という風にランク付けをしますと、結果真ん中が一番売りやすいということで、あえて値段差をつけて一番売りたい商品を中に置くというようなことを行いました。その際にアクセス解析でやヒートマップ分析などを使って調査しました。

事例②:リピートにつながらない

次にリピーターですね。これは別の企業様なのですが「商品を購入いただいた方がリピーターとして定着せず、2回目、3回目、4回目の購入者比較でどれくらい減少していくのか」ということを分析した結果、一度きりのお客様は半数以上でした。

ただ「2回目に買っていただくと、それ以降3回目、4回目、5回目と比較的長くご購入いただける」ということがわかったんです。

ECの中で最も難しいのは、初回購入よりこの2回目に買っていただくことなんですね。なぜなら1回目は見せ方の工夫をすればイメージで売りやすいんですけども、2回目は既に商品を手にして使っているため、サポート対応や企業とのコミュニケーションの部分で企業の地力が試されてしまうからです。

ですので、ごまかしがきかないという意味では難しいんですけれども、この企業さんの場合は新規を取るために初回のプロモーションというところに軸足を置いていたので、リソースを「いかに2回目以降に促すか」ということに切り替えて、売上アップにつなげたというケースでございます。

事例③:戦略がない

最後の③なんですけれども、ここはもうみなさんも既にご存知の方が多いかと思いますが、いわゆる3C分析ですね。

「自社」「競合」「顧客・市場」ですが、ただ私が見ている限りきちんと使いこなせている企業様はまだまだ少ないのではないかなと思います。

売上を3.5倍に伸ばした 具体的な分析事例

ここからは「売り上げを3.5倍に伸ばした具体的な分析事例」ということでお話しさせていただきます。事例ケースとしては私が携わらせていただいておりました、宅配水ビジネス、ウォーターサーバーの事業です。

私が参加させていただいた2012年、当時の状況・課題としては、ウォーターサーバー業界はかなり盛り上がっていて成長していたんですね。新規参入も多かったので、当時は広告を打てば打つほど新規獲得ができました。ただ、徐々に頭打ちになってきてCPAの高騰などが顕著になってきました。

そこで新たな見込み客を増やすことが必要なんですけれども、無暗にアプローチをしても効率が悪すぎるので「さあ、どうしよう」といった状況だったということをご理解いただいた上でお聴きください。

現状把握ということで、自社/競合/顧客の理解を進め、深めるというところから始めました。どういったことを行ったかと言いますと、

自分たちがターゲットとする市場とそのターゲット層というところの選定を行いました。当時もある程度はあったんですけども、きっちりその定量化するということができていなかったので、ここを進めたということです。

縦軸はいわゆる「家族構成別の市場ボリューム」ですね。

これは統計データの中でもできますので、簡単に拾えば出てくるのですが、横軸は自主調査を行って「ウォーターサーバーへの関心度」や「すでに利用している」という情報を掛け合わせて数値化しました。

ここで狙うべきポジションというのは、 特に自社の製品との親和性が高いファミリー層、シニア層の中でも、現在利用しているもしくは興味ある方に絞っていくということを決めました。

他社さんは単身世帯であるとか、2人世帯というところも狙っていたのですが、自社の商品の特徴であるとか、強みを生かせるのはそこではないということで、あえてそこを切り捨ててこういった市場をまずターゲットとするということを決めました。

自社と競合の比較

次に自社と競合の比較を行いました。

ここではお客様が「ブランドを認知してからで購入に至るまでのプロセス」を具体的に数値化しました。合わせて、自社の数字だけ見てもなかなかいいのか悪いのかわからないので、「競合さんと比べてどうか」ということで特徴を調べてみました。

①A社さんはすごくブランド認知は高いが、
あまりイメージが良くないのか好意度や利用意向度は低い

②逆にB社さんは認知度こそ低いが、
コアなファンが多くて購入までのプロセスが比較的スムーズ

自社はどうかというと、そのバランス型ということで中間的なポジションだったんですね。ただ欲しいと思っている「利用意向から行動」という、いわゆるコンバージョンまでは最も率が高かったので、いわゆる刈取りのWebマーケティングは上手く行っているなということが見えました。

また「好意的認知であるとか、利用意向が欲しいと思う人をいかに増やすかというところが自社の次やるべきことだな」という絞り込みができました。

先ほど説明したような調査は意外とコストもかからずに競合との距離感がしっかりと定量化できますので、実はまだやっていないという企業さんもいらっしゃるかもしれませんので、ぜひおすすめします。

認知をしてから、自社の製品に興味を持ってもらう

 戦略としてはこの「好意的認知の拡大こそが、売り上げに貢献しやすい」ということが分かりましたので、戦略を立てて実行への準備に移りました。

ここでは、
「ある程度ターゲットの人口が分かった」
「ゴールの目標も決まっている」として、

では「購入までのプロセスを確認し、どこにボトルネックが生じているのかきちんと定量化する」ということを行いました。ただどうしても調査ベースですとか、持ち合わせのデータを組み合わせて行っていますので、精緻な数字ではありません。しかし大事なのは「大きなボリューム感」を把握することですので、こういったものを数値化をしてどこに課題があるかを掘り下げました。

実際に分析した結果「認知をしてから、自社の製品に興味を持ってもらう」ところが一番の課題だということが分かりました。

ですので、例えばHowTo動画を作成して見てもらう、あるいはインフルエンサーを活用して自社の商品と接触する機会を作るなどの対策を行って、製品に興味を持っていただけるお客様を一挙に40万人増やそうなどと、きちんと目標立てて行っていきました。

徹底した「顧客理解」の重要性

あとは一番大事だなと思っているのが、徹底した顧客理解ですね。実際買っていただくお客様の気持ちが分からずに戦略や施策を立てても精度が低いので、誰よりもお客様のことを深く理解するために定量調査(アンケート)定性調査(インタビュー)を数多く行ってきました。

この定量調査というのは、ある程度のボリューム感を見るという意味では活用できるのですが、なかなか顧客の深い深層心理までたどり着けないので、そこを補うために定性調査が有効ですね。

「なぜそう判断したのか」という理由まで深掘りできるというのは大事かなと思います。

自社の「強み」を理解し、お客様に合わせた最適なアプローチを行う

最後に、この実行フェーズでは「自社の強みを生かしつつ、お客様のニーズに合わせた最適化」を行っていきました。

お客様へのコミュニケーションの設計なんですけれども、お客様への徹底したヒアリングの結果ですね。ウォーターサーバーを導入した一番の理由というのは実はウォーターサーバーの機能やデザインではなくて「家族に安全でおいしい水を飲ませてあげたい」というインサイトが一番強かったということがわかりました。

「うちのは電気代が少し安い」
「お湯の温度が調整できる」

といったように、当時各メーカーは個々の機能を競い合っておりました。ただそれは仕様のことで、お客様はやっぱり

「おいしい水が飲みたい」
「家族のために安心な水を使いたい」

と思っていることがわかっておりましたので、コミュニケーションメッセージは「家族のために飲ませる安全でおいしい天然水のメーカー」だということを宣言してやっていきました。

当時ウォーターサーバーの水にはフィルターを使ってろ過した人工的な水もありましたが、自社の水というのは天然水で、採水地から汲み上げたものをそのまま産地直送でお届けするというサービスがありましたので、自社の強みをきっちりと伝えられるという確信がありました。これをどう発信するのかというところで、マスメディアであるとか、Webメディア、雑誌メディア、イベントですね。こういったところでブレのない一気通貫のメッセージを送っていきました。

更にターゲットは「ファミリー層」「シニア層」という風に決めてはいたのですが、その中でひとくくりにしてしまってはダメで、お客様ごとに細かいターゲットニーズが分かれておりますので、実際にはお客様のニーズごとに10以上のセグメントに分けました。

それぞれのターゲットに対してどのような「クリエイティブ」「メディア」「ランディングページ」の組み合わせが一番効率が良いのかというABテストをひたすら行って、効率の最適化を進めていきました。

お客様の理解をせずにあてずっぽうで行ってしまうと「無数の組み合わせがあって、なかなか正解にたどり着けない」ということになりますので、多少遠回りのように見えても、こういったユーザー理解市場分析というところはぜひ行っていただくことをおすすめします。

このように戦略からこの実践までを一貫性をもって行うことで結果的にECの売り上げを3.5倍に大きく伸ばすことができたという一つの参考事例となります。

まとめ

本日のまとめですね。3点ありました。

①いきなり「手段」ではなく、まずは現状分析を行おう
②徹底した「顧客理解」が最も重要
③顧客の悩みを解決すれば売上はついてくる

マーケティングというのは「顧客の悩みをどう解決するか」ということに尽きるかなと思っております。

こういった分析を行わずに手段に行ってしまいがちではあるんですが、ぜひこのビジネス分析を行っていただくと、きっと成果への近道になるかと思いますのでぜひご検討ください。

私からのお話は以上です。


第4回 経験豊富なフリーランスによるライトニングトークのウェビナー一覧

1.成功事例から見る売上3.5倍を実現したECサイト分析と改善施策
2.無料分析ツールだけでECサイトを急成長させる方法<初級編>


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